2010年12月15日水曜日

カンターラ・イニシアティブ技術セミナー2010に参加してきました(12/19更新)

【12/19更新:資料が公開されました】

12/14にカンターラ・イニシアティブ技術セミナー2010が新宿であったので参加してきました。

今回は
SAML標準技術を活用した学術認証連携基盤の構築
 国立情報学研究所 学術ネットワーク研究開発センター 教授 中村 素典さん
バックオフィス連携実験におけるID連携技術の適用
 株式会社NTTデータ リージョナルビジネス事業本部 永田 敏之さん
の2本立てでした。

話の流れはいずれ資料が公開されると思いますし、それまでは@hirokiさんがtogetterしてくれたのでそちらを見ていただければある程度流れはわかると思いますが、ざっくりおさらいをしておきます。


メインテーマに入る前にJapan Workgroupの坂本さんから最近のKantara Initiativeの活動を紹介してくださいました。これまで各WGの活動と他のWGとの関連性をまとめた資料は見たことがなかったのでとても貴重な話でした。
前回のシンポジウムのメインテーマだったことからもわかりますが、最近Kantara Initiativeが一番注力しているのがIAF(Identity Assurance Framework)で、IAF WG以外のいくつかのWGの活動もIAFに絡んでいる、という話もありました。




次にメインの1本目、NIIの中村教授のShibbolethの話ですが、これはUSTで見ていた人にはわからないと思いますが、「学認ベスト(笑)」をまず最初に披露していました。(どこに売っているんだろう??)※学認(GakuNin)=学術認証ネットワーク
普段は基本的にエンタープライズを相手にお仕事をしているのでShibbolethは全くの門外漢なのですが、非常に基本的なところからShibbolethを解説していただき非常に役に立ちました。
基本的な考え方はSAML対応のWebSSOとDS(Discovery Service)がセットになった仕組みなので、他のWeb SSOとあんまり変わりませんが特徴としては以下の様な所であると感じました。

・スキーマ(eduPersonなど)が標準化されておりSPでの認可が共通化されている
 この辺りは共通基盤の強みです。

・DSとセットになっている
 複数IdP(各大学)と連携することを前提に作られているのでIdPを選択させる仕組みが必要になります。

・Federation Metadataを学認が取りまとめている
 通常はIdPとSPの間の信頼とFederation情報のやり取りは個別にやりますが、ここも共通基盤の強みですが、学術認証ネットワークに参加しているIdP(大学)と対応するSP(アプリケーション)の情報を一元管理しています。

・UPKIとの連携
 基本モデルはSPとIdPの間の信頼関係にある点は当然他のSAMLの仕組みと何ら変わらないので証明書のやり取りが発生しますが、事前に学認に参加する大学を審査しておくことにより使用するサーバ証明書の発行を簡素化する、という仕組みも構築されているそうです。



次にバックオフィス連携の実証実験の話ですが、これは電子行政(住民票の電子申請とか)を推進するために裏側(バックオフィス)で各自治体などとセキュアに情報をやり取りするための取り組みに関する話でした。
今後このバックオフィス連携の仕組みが自治体や各省庁の間の情報連携を行うための情報ハブ・プラットフォームとなるということでした。

現段階では実証実験ですが、SAML2.0 / ID-WSF2.0を採用しフェデレーションやプライバシー情報の連携を行っており、かつそれらの要素技術を何故選択したのか?などについても解説があったので非常に参考になりました。
また、行政関連ということで特徴的だったのが例えば障害等級の情報など非常にセンシティブな情報を扱うことが前提となる仕組みなのでID-WSFなど本人の同意の元で最低限の情報を連携する仕組みが必要になってくるということでした。他にも自治体職員が本人の代わりに過去に本人が在住していた自治体から情報を取得する時にいかにプライバシーを保護するのか?というテーマでのユースケースが紹介されたりと興味深い点が数多くありました。


とりあえずメインセッションの資料の公開を期待して待っておきましょう。
すみません、字ばっかりで。

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