2014年3月30日日曜日

[AAD+FIM2010]Azure Active Directory Premiumの正式リリースとプロビジョニング界のエコシステムの崩壊?

Windows Azure Active Directory(WAAD)あらためMicrosoft Azure Active Directory(MAAD?最近はAADで通じるっぽい)のPremiumが4月に正式リリース(GA)を迎える、ということがActive Directory Teamのblogでアナウンスされました。

Cloud based Identity and Access Management for every user on every device
 http://blogs.technet.com/b/ad/archive/2014/03/25/identity-and-access-management-for-every-user-in-every-organization-using-any-service-on-any-device.aspx


来週からのBuild(4/2-4/4)で発表されるんですかね。

blogの内容を見ると、AAD PremiumにはForefront Identity Manager(FIM)のサーバライセンスとCALが含まれるそうなので、マルチフォレストシナリオでのディレクトリ同期やオンプレミスのActive Directory以外をデータソースとしたID管理などの複雑な構成がとれるようになります。



これはエンタープライズID管理(特にプロビジョニング)市場にとって非常に大きなインパクトを持つ可能性があると考えています。エンタープライズシナリオでOffice365とか使おうと思ったら今後はAAD Premium+FIMっていうのがコスト的にも非常に優位なソリューションになる可能性がありますので、これまでAAD/Office365のディレクトリ同期ツールで足りない部分はサードパーティを、というエコシステムが成り立ってきましたが、今後すこしバランスが崩れる可能性があるのでは?と思います。


最後に、改めてですが今回正式リリースとなるAAD Premiumの機能は以下の通りです。
他にもPreview中の機能が複数あり、今後も強化されていくようです。

全体的な特徴

  • 99.9%のSLA
  • ディレクトリ内のオブジェクト数に制限なし

機能
  • アプリケーションアクセス管理
    • Google AppsやsalesforceなどへのSSO/プロビジョニングを提供、アプリケーションポータル(アクセスパネル)からアプリケーションの利用
  • セルフサービス・パスワードリセット
    • ユーザ自身によるパスワードリセット
  • セルフサービス・グループ管理
    • ユーザ自身によるグループの作成やグループへの参加登録
  • 多要素認証
    • 追加のソフトウェアやハードウェアなしでの多要素認証の提供
  • ブランドのカスタマイズ
    • ログイン画面やアクセスパネルなどの画面カスタマイズ
  • レポーティング、警告と分析
    • アクセス元ネットワークの解析や利用状況のレポート


2014年3月15日土曜日

[FIM2010]PowerShellコネクタの正式リリース

Forefront Identity Manager 2010 R2 (FIM2010 R2)用のコネクタが更新されています。

◆PowerShell コネクタの正式リリース
 これまで PowerShell コネクタと言えばデンマークの FIM MVP の Soren Granfeldt さんが公開していたものでしたが、マイクロソフトからも正式にリリースされました。どうやらこれまで MCS(Microsoft Consulting Service)が使っていたものを製品に組み込んだ、ということらしいです(うろ覚え)

 用途としては、ホームディレクトリをファイルサーバに作ったり、Office365 へのプロビジョニング後にライセンスをアサインしたり、と小回りを聞かせたいときに使うのがメインになりそうです。

 こちらからダウンロードできます。

◆Generic SQL コネクタの RC 版(リリース候補版)
 ODBC ドライバがある DBMS へ接続できるコネクタです。これまではビルトインの SQL コネクタと Oracle コネクタしか用意されていませんでしたが、これでもう少し柔軟なシステム管理ができるようになると思います。

 こちらは RC 版なので Connect サイト(要登録)からダウンロードできます。

◆SAP ユーザ、ロール、グループ コネクタの RC 版(リリース候補版)
 こちらも RC 版です。これまでも SAP コネクタはありましたが、今後廃止される Web Service コネクタをベースに作られているものでした。今回のリリースは Web Service コネクタベースでは無いネイティブ版ということです。

 同じく Connect サイトからのダウンロードです。

◆Generic LDAP コネクタの更新
 以前正式リリースされた Generic LDAP コネクタの更新プログラムがリリースされています。
 LDAPS 接続での不具合修正や Apache Directory Server の新規サポートなどがポイントです。

 こちらは KB として公開されています。

なかなか時間が取れなくて Windows Azure Active Directory コネクタや SharePoint コネクタなど新規のコネクタの使い方を紹介できていませんが、順次公開していこうと思います。



2014年3月2日日曜日

祝!OpenID Connect ローンチ

遅ればせながら。OpenID Connectが2/27にローンチされました。

米OpenID Foundationを牽引してこられた崎村さんの6年に及ぶ努力が実を結んだ瞬間だったと思います。本当におめでとうございます。
 OpenID Connect リリース~インターネットのアイデンティティ層
 http://www.sakimura.org/2014/02/2277/

 OpenID Foundationが、パーソナルデータ流通時代を支えるアイデンティティAPI標準仕様「OpenID Connect」を発表
 http://www.openid.or.jp/news/2014/02/openid-connect-standard.html

このblogでもお伝えしてきたようにMicrosoftもWindows Azure Active DirectoryでOpenID Connect / OAuth をサポートしていますし、先日のVittorio Bertocci氏へのインタビューでも触れたOWIN(Open Web Interface for .NET)でもそれらの技術を利用できる様になっています。
 [WAAD] OpenID Connect Interop 5
 http://idmlab.eidentity.jp/2013/11/waad-openid-connect-interop-5.html

 [WAAD] OAuth2.0 への対応状況まとめ&ちょこっと OpenID Connect
 http://idmlab.eidentity.jp/2013/07/waad-oauth20-openid-connect.html

 開発者にとってのWindows Azure Active Directoryの役割と今後の展開
 http://www.buildinsider.net/enterprise/interviewvittorio/01

 OWIN(Open Web Interface for .NET)
 http://owin.org/


また、OpenIDファウンデーションジャパンの公式リリースでも触れられているように翻訳/教育ワーキンググループでOpenID Connectの仕様(実装ガイド)を翻訳しています。
- Basic Client
 http://openid-foundation-japan.github.io/openid-connect-basic-1_0.ja.html
- Implicit Client
 http://openid-foundation-japan.github.io/openid-connect-implicit-1_0.ja.html

私もImplicit側で少しだけお手伝いをさせていただきましたので、仕様を見てみたい、という方はぜひご覧ください。

ちなみに。
インターネットに関するプロトコルとか技術って全部アメリカからの輸入品だと思っていませんか?
少なくともIdentityに関しては日本は先進国であり、グローバルスタンダードを牽引している存在だと堂々と言えるんじゃないかな、と思えたのが今回の発表でした。
(少なくとも関わっている人たちは既に国境にとらわれていない方ばっかりですがw)