完全に個人メモです。
ご存知の通りDID(Decentralized Identifier)の構造は
did:{method}:{method specific identifier}
となっています。
例えば、イーサリアムだったら
did:ethr:0xE6Fe788d8ca214A080b0f6aC7F48480b2AEfa9a6
という感じです。
現状Blockchainの系がバラバラと乱立している状態なので、系の間でユニバーサルに一意に識別できる仕組みがないとDIDがIdentifier(識別子)としての役割を果たせないことはわかるんですが、そもそも論としてメソッド名が識別子の中に入っているって言うのもなぁ、と個人的には思いますが他にいいアイデアが出せるわけではないので自粛しておきます。
話はそれましたがDIDが上記の様な形式になっている以上、系を跨いで識別子(DID)および関連する情報(DID Metadata)を解決する仕組みがないと、DIDを使ったアイデンティティ管理システムが成立しません。ということで今日の本題の「リゾルバ」が必要になるわけで、実質標準になっているのがMarcusがやっている「Universal Resolver」である、というわけです。
元々DID関係はW3CのWeb Payment WG、Verifiable Credentials TF、OASISのXDI TC Registry WGが別々にやっていて、2015年〜2016年あたりでDPKIとかのドラフトとして出てきた中でレゾルバの必要性に注目してUniversal Resolverを作った、みたいな話を2018年のEuropean Identity and Cloud ConferenceでMarkusから聞いたとき、リソルバ自身の信頼性ってどうやって担保するの??みたいな話を聞いた覚えがあります。その時にMarkusはリゾルバ自体はOSSだからプライベート実装しても良いし、アプリに組み込んでも良いよ、みたいな話をしていました。
そんな中でMarkusがサンプル実装として公開したのが先の https://uniresolver.io/ で、他にもベンダが実装してきている例としてMicrosoftが自前のDID Projectで実装したのが、 https://beta.discover.did.microsoft.com/ だったりする、ということなんですね。
と言うことで、それぞれどんな感じなのかみてみようと思います。
登録されているDID method
そもそも現在どんなDID methodが存在しているのか、という話になるのですが、DID methodはW3Cのコミュニティグループで「ゆるく」管理?されています。https://w3c-ccg.github.io/did-method-registry/
今日(2020/07/23)の段階で59個も登録されてるんですね。残念ながらuPortはdeprecatedになってます(単にethrに引っ越しただけですが)。
Universal Resolverの状況
Universal ResolverではメソッドをサポートするためにDriverという単位でプラグインを追加していく形になります。githubのレポジトリを見るとDriverの開発の方法や現在開発されているDriverの一覧を確認することが出来ます。
https://github.com/decentralized-identity/universal-resolver/
同じく今日時点で28種類ある様です。
使い方としては非常にシンプルでUniversal Resolverをデプロイし、エンドポイントに対して
curl -X GET http://localhost:8080/1.0/identifiers/did:sov:WRfXPg8dantKVubE3HX8pw
という感じでGETしてあげればDID metadataが返ってくるという仕掛けです。これをWebで簡単に触れる様にしたのが先に書いた
https://uniresolver.io/
ってことです。
Microsoftの実装は?
前回のポストでも紹介しましたがMicrosoftもDIDの世界に突き進んでいるわけですが、当然マネージドなリゾルバを提供しています。公開されているサンプルソースを掘っていくと、
https://beta.discover.did.microsoft.com/
というURLが出てきます。
ご存知の通りMicrosoftのDID/IONのメソッドは ion で、現在Universal Resolverではサポートされていません。ionメソッドのDIDをUniversal Resolverで解決しようとしてもNFです。
と言うことでMicrosoftのDIDを解決するには上記のリゾルバを使うしかなさそうです。
使い方としては、Universal Resolverと同じで
curl -X GET https://beta.discover.did.microsoft.com/1.0/identifiers/did:ion:EiBo3GQwMgF...
と言う感じです。DID metadataの視認性を上げるためにFirefoxで開いてみます。
ふとした疑問として、どこまでMicrosoftのリゾルバは他のメソッドをサポートしているんだろう?と思って実験してみました。サンプルとして使ったDIDはUniversal Resolverのレポジトリにあるテスト用のものを使いました。
以下が結果です。
method | support |
---|---|
sov | OK |
btctr | OK |
v1:test | OK |
key | OK |
ipid | NG? Universal ResolverでもTimeoutするのでipid側の不具合かも |
web | NG? サンプルになっているのがdid:web:uport.meなのでDIDの問題かと |
ethr | NG. Timeout |
nacl | OK |
jolo | NG. Timeout |
stack | OK |
erc725 | NG? Universal ResolverでもExceptionが出るのでドライバの問題っぽい |
hcr | OK |
neoid | NG? Universal ResolverでもExceptionが出るのでドライバの問題っぽい |
elem | NG |
github | NG |
ccp | OK |
work | OK |
ont | OK |
kilt | OK |
evan | OK |
echo | OK |
factom | OK |
dock | OK |
abt | OK |
trustbloc | NG |
sirius | NG? Universal ResolverでもExceptionが出るのでドライバの問題っぽい |
mpg | NG? Universal ResolverでもExceptionが出るのでドライバの問題っぽい |
trust | NG? Universal ResolverでもExceptionが出るのでドライバの問題っぽい |
io | NG? Universal ResolverでもExceptionが出るのでドライバの問題っぽい |
ということで完全に自分メモでした。