Updates on the Allowance of Cloning Authentication Keys
SP 800-63B のセクション 5.1.8.1「多要素暗号化ソフトウェア認証機能」は、認証器があるデバイスから別のデバイスへ暗号化認証鍵を「クローン」することを制限している。具体的には、以下のとおりである:
多要素暗号化ソフトウェア認証器は、複数のデバイスへの秘密鍵のクローニングを抑制すべきであり、促進してはならない(SHALL NOT)。
同期可能な認証器は、デバイスや異なるプラットフォーム・プロバイダにまたがって、以前に 登録した認証器へのアクセスをユーザに提供するため、明示的に鍵の複製を促進する。NISTがSP 800-63B-4の初期公開草案(ipd)からこの制限を削除したことで、この現実が認識された。本文書の発行時点で、5.1.8.1 項の上記の記述は、本補足により置き換えられ、本補足に規定される要件に基 づいて導入される同期可能な認証器は、AAL2 で想定される脅威から保護するのに十分であるとみなされるものとする。
そうです、元々のSP 800-63Bでは秘密鍵のクローニングを制限していたわけです。今回の更新でこの点について緩和が行われたわけです。
ただ、そのために満たすべき要件を以下の通り定義しています。
同期可能な認証器のすべての使用に関する一般要件:
- すべての鍵は、承認された暗号技術を用いて生成されなければならない。
- デバイスからクローンまたはエクスポートされた秘密鍵は、暗号化された形式でのみ保存されるものとする。
- すべての認証トランザクションは、デバイス上で生成された、または同期ファブリック(クラウドストレージ など)から復元された暗号鍵を使用して、ローカル・デバイス上で秘密鍵操作を実行しなければならな い。
- クラウドベースのアカウントに保存された秘密鍵は、認証されたユーザのみがシンクファブリック内の秘密鍵にアクセスできるよう、アクセス制御メカニズムによって保護されなければならない。
- 同期ファブリック内の秘密鍵へのユーザ・アクセスは、同期された鍵を使用する認証プロトコルの完全性を保持するために、AAL2相当のMFAによって保護されなければならない。
- これらの一般的要件および同期可能な認証器の使用に関するその他の機関固有の要件は、文書化し、公開ウェブサイトおよびデジタル・サービス・ポリシー(該当する場合)を含め、周知されるも のとする。
ちゃんと認定された暗号技術を使うこと、同期された鍵を使って認証に必要な操作を行う場合はローカルで操作を行うこと(要するにリモート署名なんかはNGってことですね)、秘密鍵へのアクセス制御を行うこと、具体的にはAAL2相当の認証強度で保護されていること、同期可能な認証器を使っていることをポリシーとして公開・周知すること、が記載されています。要は、同期してもいいけどちゃんと認められた方法で管理し、その旨を周知せよ、ということですね。
また、追加要件として以下のについても定義されています。
連邦企業が同期可能な認証器を使用するための追加要件:
- 連邦企業の秘密鍵(すなわち、連邦鍵)は、FISMA Moderateの保護または同等の保護を達成した同期ファブリックに保管しなければならない。
- 連邦企業の秘密鍵を含む認証器を生成、保管、同期するデバイス(携帯電話、ノート型パソコン、タブレットなど)は、モバイル・デバイス管理ソフトウェアまたはその他のデバイス・コンフィギュレーショ ン・コントロールによって保護され、権限のないデバイスまたは同期ファブリックへの鍵の同期または共有を防止しなければならない。
- 同期ファブリックへのアクセスは、省庁が管理するアカウント(例えば、中央アイデンティティ・アクセス管理ソリューションまたはプラットフォーム・ベースの管理アカウント)によって制御され、 秘密鍵のライフ・サイクルに対する企業管理を維持するものとする。
- 秘密鍵を生成する認証器は、認証器の能力およびソースを検証するために使用できる認証機能(例えば、エンタープライズ認証)をサポートすべきである(SHOULD)。
これらの管理は、特に同期をサポートし、FIPS 140 の検証を含む、既存の多要素ソフトウ ェア暗号認証の要件および AAL2 の要件に追加するものとみなされるものとする。
秘密鍵の同期に使うファブリック(要するにクラウドストレージやiCloudやGoogle Platformなど)の保護レベルはFISMA(米国連邦政府のセキュリティ基準)のModerate(平均レベル)もしくは同等が求められています。
また、同期ファブリックへのアクセス制御についてはIAMなどによりしっかり管理されている必要がある、ということなので共有パスワードグループはこの辺りに引っかかるんじゃないかな、、と思います。多分、企業などでiOSやmacOSを使う場合はMDMなどで共有パスワードグループを制御する(できるかどうかは知りませんが)ことが必要になりそうです。
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