2024年6月15日土曜日

政策提言「デジタル・ニッポン2024」を見ていく(5)

こんにちは、富士榮です。

しばらく間が開きましたが、自民党の政策提言「デジタル・ニッポン2024」をみていきます。今回で本体部分は終わりです。ということで最後の「提言」部分です。


基本的にはこれまでみてきたことのまとめが記載されています。

デジタル・ニッポン 2024 では、デジタル社会推進本部における議論を踏まえ、「データ戦略」に軸足をおいてデータ連携と利活用のための課題や具体的な取組を示した。

これまでのデータ戦略の課題を克服し、変化の速い技術やサービスの進展の中でデータ戦略が⾃律的にアップデートされていくようにするため、制度ベースの戦略プロセスと技術ベースの戦略プロセスが相互に関連しながら新たな価値を創造していく「プロセス指向のデータ戦略」を構築すべきである。このようなプロセスを各プロジェクトにおいて妨げられることなく高速で柔軟に回転させていくことが求められる。

データ戦略については本文内で「データそのものの真正性や完全性」や「DFFT具現化」などが掲げられていた部分ですね。

昨年のデジタル・ニッポン 2023 でも議論された社会インフラの整備について、行政や⾃治体サービスを中心にさらに進めていくべきであるが、先進的な⺠間サービスとの連携も進めていく必要がある。その際、先の能登半島地震の教訓をしっかりと生かしていく点にも言及したい。 

同じく民間サービスと連携するためにはマイナンバーカードの利活用の推進の文脈で「運転免許証や在留カードとの一体化やiPhoneへの電子証明書搭載を早期に実現」ということも語られていた部分もありました。iPhone部分については早々に実現しそうですが。また、官民のみならず民間のデータ連携についても政府が一定の関与をすることの必要性、そのためにルールやトラストサービスの必要性が語られていました。

データの利活用に当たっては様々な制度的課題への対処が必要となるが、中でもデータ利活用の妨げとなっている個人情報保護法の改革が急務である。個人情報保護委員会において法改正に向けた検討が進められているが、我が国の経済社会に恩恵をもたらすはずのデータ利活用を阻害する規律強化を認めることはできない。あくまでマルチなステークホルダーの意見を丁寧に聴きながら、個人情報の保護と利活用の両立を実現する抜本的な制度見直しを行うことを強く求める。

ちょうど改訂の節目な個人情報保護法に関しても、同意疲れの話に触れ、同意不要とするケースは何なのかを見直すべきである、ということが語られていました。

これらの国内の制度的課題への対処と並行して、国際的なデータ連係基盤の構築やトラストサービスの制度整備が急務であり、そのための検討を早急に進めなければならない。今後は、舞台を世界に移して AI のような新技術をも前提とした新たなデータ戦略のプロセスを展開していくことに期待したい。

最後にデータ戦略の基盤として国や地方の DX をさらに加速して推進するべきであるが、その司令塔であるデジタル庁の体制を強化しつつ、本提言に示したさまざまな施策を戦略的に推進し、我が国社会全体のデジタル変革を進めていくことをここに提言する。

やはりトラストサービスの重要性については本文でも語られた通りであることが提言の中でも繰り返されています。そしてそのためにはEUにおけるeIDASのような統一化された規範がないことが課題として挙げられていた通り、ここでも制度整備が急務である、というように語られているわけです。そして信頼性を担保するためには体制を整え、プロセスの整備とガバナンスが効くような姿を実現することが必要である、ということはこれまでに触れられてきた通りだということですね。


ということで一旦本文のところはこれでおしまいです。公開された資料の添付資料には別途公開されてきたweb3PTのホワイトペーパーなど有益な資料も付いていますので、時間があればこちらも見どころは紹介していければと思います。

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