2024年8月10日土曜日

選択的開示に関するReview論文を読む(5)

こんにちは、富士榮です。

引き続き選択的開示に関する調査論文を読んでいきます。
Selective disclosure in digital credentials: A review

今回はブロックチェーンの利用の動向についてです。

当然でしょうが、ブロックチェーンが登場する以前の方法論に関してはブロックチェーンが使われることはありませんでしたが、著者によると2018年からは選択的開示を含むアイデンティティ・ソリューションの一部としてブロックチェーンが利用されるものが増えているとされています。
シンプルすぎる図なのでこれだけだと意味不明ですが50%のソリューションがブロックチェーンを使っている、と著者は書いています。(うーん、本当?って感じですが)
論文より


なお、ブロックチェーンを利用したアイデンティティ・ソリューションのセキュリティ・プライバシーの強化については以下の点があると記載されています。
  • Enhances security and privacy — provides a secure and tamper-proof environment for storing data;
  • セキュリティとプライバシーを強化 — データを保存するための安全で改ざん防止機能を備えた環境を提供します。
  • Full control over identity — blockchain empowers users to have complete control over identity, manage it and share it without intermediaries;
  • アイデンティティの完全な管理 — ブロックチェーンは、ユーザーにアイデンティティの完全な管理権限を与え、仲介者を介さずに管理および共有することを可能にします。
  • Inclusion and accessibility — digital identities can provide official identification to individuals who lack traditional identity documents;
  • 包含とアクセス可能性 — デジタルIDは、従来の身分証明書を持たない個人に公式な身分証明を提供することができます。
  • Data integrity and immutability — blockchain is immutable, and it provides a reliable and tamper-resistant source of information;
  • データの完全性と不変性 — ブロックチェーンは不変であり、信頼性が高く改ざん防止機能を備えた情報源を提供します。
  • Elimination of identity fraud — the risk of identity theft and fraud is reduced;
  • なりすまし詐欺の排除 — なりすましによる詐欺のリスクが低減されます。
  • Decentralization — removes the risk of a single point of failure;
  • 分散化 — 単一障害点のリスクを排除します。
  • Builds trust — approach is user-centric, enhancing user experience and building trust.
  • 信頼を構築 — ユーザー中心のアプローチで、ユーザー体験を向上させ、信頼を構築する。
一方で以下の欠点もあるとしています。

  • Scalability and performance — blockchain is a resource-intensive technology. Combined with computationally intensive methods for selective disclosure, integration can lead to challenges in scalability and performance;
  • スケーラビリティとパフォーマンス — ブロックチェーンはリソース集約型のテクノロジーです。選択的開示のための計算集約的な手法と組み合わせることで、統合はスケーラビリティとパフォーマンスの課題につながる可能性があります。
  • Complexity in implementation — both blockchain and selective disclosure require significant technical expertise;
  • 実装の複雑性 — ブロックチェーンと選択的開示の両方には、高度な技術的専門知識が必要である。
  • Regulatory and legal challenge — blockchain and selective disclosure enable privacy and, therefore, can face strict regulatory scrutiny;
  • 規制および法的課題 — ブロックチェーンと選択的開示によりプライバシーが実現されるため、厳格な規制の監視に直面する可能性がある。
  • Interoperability — lack of standardization between selective disclosure methods and blockchain platforms can cause issues in the interoperability of digital identity systems.
  • 相互運用性 — 選択的開示方法とブロックチェーンプラットフォーム間の標準化の欠如は、デジタルIDシステムの相互運用性に問題を引き起こす可能性があります。


同意しかねる内容(というかブロックチェーンは関係ないだろ、、って話)も含まれますが、一般論として言われていることかもしれませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿