2015年8月8日土曜日

[Azure AD]Cloud App DiscoveryでシャドーITを検知する

こんにちは、富士榮です。

最近の企業の情報システム部門を見ていると、事業部門が使う業務アプリケーションについて、
・セキュリティを担保した上で使ってもらいたい
・そのためには何を使っているのかを把握し統制を効かせたい
・ただ、全部のアプリケーションを情報システム部門で管理する人的リソースがない
という状態になっているように感じます。
その結果として、いわゆる「シャドーIT」とか「野良IT」と言われる各事業部門側が個別にSaaSアプリケーションなどを契約し使っている状態が散見される状態となっている訳です。

本来はIDaaSなどをうまく活用して各SaaSアプリケーションのID部分だけでも情報システム部門で抑え込んでせめて退職済みアカウントでは使えない状態にする、などの統制を効かせる工夫をしたいところですが、すでに利用が始まってしまっているシャドーITの状態を把握するのは大企業になればなるほど困難になります。

※IDaaSの概要と情報システム部門での活用については先日始まった@ITの連載をご覧ください。
 企業のID管理/シングルサインオンの新しい選択肢「IDaaS」の活用:
  第1回 もはや企業のID管理で避けては通れない「IDaaS」とは?
  http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1508/07/news034.html


と、いうことで今回はすでに業務部門に広まってしまったSaaSアプリケーション利用の状態を把握するために用意されているAzure ADの追加機能「Cloud App Discovery」について解説します。

◆Cloud App Discoveryとは

先に書いた通り、企業内からどのようなSaaSアプリケーションが実際に使われているのかを検出するためのツールで、Azure AD Premiumのライセンスが割り当てられている管理者が機能を使うことが出来ます。

仕組みとしては、組織内のコンピュータにCloud App Discovery用のエージェントをセットアップし、各コンピュータからのSaaSアプリケーションの利用状況をAzure ADに集める、という構成になっています。※エージェントモジュールは各Azure AD/Cloud App Discoveryテナント毎に証明書とセットでダウンロードされるので、System Centerやグループポリシーなどのクライアント構成ツールで各コンピュータに配布します。
※サービス解説ページより


◆Cloud App Discoveryの有効化

Azure Portalのマーケットプレイスより追加します。Azure Portalのマーケットプレイスを開くと「セキュリティ+ID」のセクションに「Azure AD Cloud App Discovery」があるので選択して作成します。




◆Cloud App Discoveryの設定:コンピュータへのエージェント導入

先にも書いた通り、通常はSCCMなどでモジュールを配布することになると思いますが、今回は手動でインストールしてみます。
Azure PortalからCloud App Discovery、クイックスタートを開くと「エージェントのダウンロード」というセクションがあり、ここからエージェントモジュールをダウンロードできます。現段階ではWindows 7以降のコンピュータに対応しているようです。



ダウンロードしたモジュールを解答し、セットアップファイルを実行するとGUIモードでエージェントをインストールできます。特に設定オプションはないのでそのままインストールします。





インストール後、PCのサービスの状態を見ると[SerresEndpointAgent]というサービスが動いていることがわかります。これがエージェントモジュールの実体です。


あとは放っておけばAzure AD上にクライアントが利用したSaaSアプリケーションの情報が集まってくるはずです。


◆Cloud App Discoveryの設定:収集対象アプリケーションの絞り込み

当然このままでも良いのですが、ある程度収集対象とするアプリケーションの種類を絞り込みたい場合もありますので、ポータル側で収集対象アプリケーションの絞り込み設定を行うことができます。

[設定]から[データコレクション]のセクションを開くと対象のアプリケーションの絞り込み設定を行うことが出来ます。
既定では2,100程度のアプリケーションが選択された状態になっていますので、必要なアプリケーションのみに絞り込むことが可能です。




◆収集結果の分析

ある程度データが集まるとCloud App Discovery上のグラフに、
・アプリケーションの利用数
・ユーザ数
・エージェントの導入数
が表示されてきます。

それぞれを展開するとどのようなアプリケーションを使ったのか、誰が使ったのか、どのコンピュータにエージェントが導入されているのかがわかります。





◆非管理対象のアプリケーションをAzure ADで管理する

アプリケーションの利用情報が収集できたら、管理対象にしたいアプリケーションを選択するとAzure ADのアプリケーション管理メニューへ移動できるので、事業部門へアナウンスし、アプリケーションとの連携設定を行い、あとはAzure ADを経由して使ってもらえば、通常のアプリケーションと同様にAzure ADのレポーティングで利用状況のモニタリングが可能になります。




最初からAzure ADなどのIDaaSを使ってすべてのアプリケーションを利用する、というように統制が効かせられる環境であれば特にこのような工夫は必要にはなりませんが、なかなかそのような状況はないと思いますので、まずはこのような形で利用実態を把握するところから始めるのが良いのかもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿