2024年12月3日火曜日

SIDI Hub - ベルリンレポートを読む(14)

こんにちは、富士榮です。

なかなか終わらないSIDI Hubベルリンレポートです。
ちなみにその後開催されたワシントンDCと東京のレポートはまだ公開されていませんが、着々と作られていますので、公開されたら読んでいこうと思います。

さて、前回は着目すべきユースケースの選定についてでしたが、各グループでどんな議論をしたのか、についてもメモが公開されています。

例えばTravellingのグループのメモはこんな感じです。

国境を越えた相互運用性に関する課題としては、まぁパスポートはいいけどVISA取得のプロセスやカナダへの入国に必要なEDL(強化運転免許証)は通常の運転免許証+パスポートよりも高いよね、みたいな話があるようです。
この課題は国境を越えて働いたり生活している人たちにとっては大きな問題ですし、コストの負担も大きい、ということです。
この辺りはパスポートのデジタル化がもっと進むとよくなるところもあるんじゃない?って感じの議論だったようです。

他にも政府の提供するサービスへのアクセスのグループはこんな感じです。

このユースケースは日本にいるとほとんど課題と感じることがと思います。例えば他国での投票やヘルスケアサービスの利用、犯罪や事故に巻き込まれたときの警察への届出、などですね。
パスポートやヘルスケア関連や保険関連のドキュメントのデジタル化がこれらの課題に対して対応するために必要なことの一部を占めていると分析されています。ただ、なかなか定量的に効果を測定するのが難しい領域ということも同時に言えるので今後どこまで進めるのかは判断が難しいところになりそうです。


つい先日のオーストラリアでの16歳未満へのSNS利用禁止の件など、オンラインサービスにおける年齢確認は大きな課題となりつつあります。
この問題は今後さらに大きな問題となる可能性もあり、取り組んでいく意義は非常に大きいと思われます。

次は教育ですね。これは東京サミットでもトピックの一つとして取り上げられました。
資格の意味合いに関する相互運用が難しいのがこの領域の特徴ですね。いくらテクニカルに相互運用できても資格情報に関する解釈が非常に重要です。これは国内でさえ未整備なところなので、国際連携を考えると今後ちゃんと基準に合意をして進めていくのが非常に重要だと考えられます。

続いて銀行口座開設のユースケースです。こちらも東京サミットで取り上げられました。

一番大きいのは国外の身分証明書を使って身分確認をするのが難しいってところからでしょうね。他にも資産状況などのCDDに関する情報の連携も大きな課題になりそうですし、AML関連のルールの統一も難しそうです。
ただ、先ほどの学位のケースとも共通しますが、柔軟に国境を越えて留学や就労を進めるためには金融サービスのような人権に直結するものをちゃんとAvailableにしておかないといつまで経っても進まないと思うのでこの辺りも非常に重要なテーマだと思います。

次はデジタルコンテンツに関してです。

コンテンツの流通はますます国を超えますが、同時にフェイクなども入ってきます。そのときにどうやって情報発信元や情報を信頼することができるのか?そのためにデジタル技術はどのように役立つのか?は深淵かつ重要なテーマですね。日本ではOriginator Profileがまさに該当する取り組みになってくると思いますので期待が大きいと思います。

最後が避難民です。日本ではセンシティブすぎるのかもしれませんが、ケープタウンや欧州においては喫緊の課題になっている問題ですね。

難しいのは一言で避難民と言っても状況はさまざま、というところもありそうです。本当に身元情報を含め国から迫害されて追い出されてしまっている人たちもいますし、ある程度の情報は持ちつつも自主的に避難している人たちも存在するはずです。
しかし、これらの人たちに対して等しく経済的な自立を促すための基本的なサービスを提供するのは重要なことであり、そのためにデジタル・アイデンティティの確立は非常に重要な要素となるはずです。

ということで今日はこの辺りまで。





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