CSやMVの中身は今回は考えず、設定情報が移行できるかを検証します。
ポイントは「MAやDLLがそのまま使えるか?」です。
下記のような環境を作って検証を行います。
ILM2007とFIM2010は同一ドメインに参加している別の新規サーバで構築します(ILM2007は32bit、FI2010は64bitのOSのみサポートするため)

同期対象としては人事情報CSVとActiveDirectoryで、一方通行の単純なものを作ります。

■サーバ設定のImport/Exportを試してみる
まず試したのは、ILM2007で設定をExportし、FIM2010でその設定をImportする、という手順ですが、結果としてImport処理時に失敗してしまいます。
通常通りILM2007から設定をExport。

その設定ファイル(XML)をFIM2010へImportします。

見事にエラーで失敗します。
・ログ抜粋
Preparing existing metaverse configuration for update starting... An error was encountered while trying to update the metaverse configurations. 指定されたオブジェクト エクスポータが見つかりませんでした。 (HRESULT からの例外: 0x80070776) Error encountered trying to prepare the existing metaverse configuration. Server configuration import FAILED. |
また、ログの中を見るとエラー以外にMetaverseのスキーマを変更した、というようなログが出ているが気になるので念のためSchemaを見てみるが削除はされていなかったようなので一安心。
・ログ抜粋
Metaverse schema compare starting... Attribute deleted : 'accountName'. Attribute deleted : 'ad_UserCannotChangePassword'. Attribute deleted : 'address'. <中略> Attribute deleted : 'type'. ObjectType deleted : 'detectedRuleEntry'. ObjectType deleted : 'expectedRuleEntry'. ObjectType deleted : 'function'. ObjectType deleted : 'synchronizationRule'. The metaverse schema has been changed. |
■MAを個別にImport/Exportしてみる
次に試したのは、MAを個別でExport→Importする手順です。
こちらはうまく行きました。ただし、MVについてはすべて手動で再設定が必要です。
ILM2007で各MAを個別にExport。

関連する下記のファイルをILM2007サーバからFIM2010サーバへコピー。
・ExportしたMAのXMLファイル
・AD_MAのRulesExtensionのDLLファイル
・MVのRulesExtensionのDLLファイル
・HRのCSVファイル
今度はFIM2010サーバで各MAのImport。
AD_MAの接続パスワード部分だけ再度手入力が必要ですが他は[Next]を次々クリックしてMAをImportします。またこの操作でRunProfileも同時にImportされます。

各種ファイルを適正な場所に配置します。
ファイル | 配置場所 |
RulesExtensionのDLLファイル | FIM2010インストール先フォルダ\Extensions以下 |
HRのCSVファイル | FIM2010インストール先フォルダ\MAData\HR_MA以下 |
MetaverseのRulesExtension設定はMAのExport/Importでは移行されないので、手動で再設定が必要となります。
他にもMetaverseの設定(スキーマやObjectDeletionRuleなど)を独自で行っていた場合は手動で再設定が必要です。
■動作確認
ここはILM2007と同じ手順で同期を実行させます。
1.AD_MAのFull Import処理を実行し、コンテナオブジェクトをAD_CS上に作成します。
2.次にHR_CSVのFull Import→Full Synchronization処理を実行し、HR_CS上へのエントリの作成およびAD_CSへのプロビジョニングを実行します。
→実はここで、事前にADから対象のユーザエントリを削除せずにそのまま実行したのでAD_MAのFull Import処理によりAD_CS上にオブジェクトができてしまっていたので、プロビジョニング時に重複エラーがでました。これはプロビジョニング関数の作りなので、本来はConnectorsを見て重複させないような作りにして回避します。
とりあえず今回はそこまでしていないのでDCからユーザエントリを削除して再実行しました。
3.ADへのExport処理を実行
→めでたしめでたし

■結論(わかったこと)
・サーバの全体設定をそのままExport/Importでは移行できない
・MA単位で個別に設定をExport/Importすることは可能
・ExtensionのDLLファイルは再コンパイルしなくてもそのまま使える
次回はデータを含めた移行を試してみたいと思います。
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