2024年1月16日火曜日

前回のOpenID Summit Tokyoを振り返る

こんにちは、富士榮です。

いよいよ今週末、4年に一度のOpenID Summit Tokyoが渋谷ストリームで開催されます。

見どころなどは明日にでも紹介しようと思いますが、その前に4年前を少しだけ振り返っておきましょう。

前回のテーマは「真のDXを支えるID」でした。時代的にDXというキーワードが出始めていた時期ですし、OpenID Connectの適用先もコンシューマからエンタープライズへ本格的に広がってきつつある時期だったと思います。また、新たなキーワードとして自己主権型アイデンティティという言葉もこの時期から注目を集め始めていた頃です。

こちらが前回のプログラムですが、KYCやFAPI、FIDOなども注目のテーマの一つでしたね。

時刻Grand hall(同時通訳あり)Breakout room
10:00 - 10:10

開会の挨拶

Nov Matake — 一般社団法人OpenIDファウンデーション・ジャパン 事務局長
Keynote1-3 同時中継 / エバに相談コーナー
10:10 - 10:40

Keynote 1 - The Future of Identity

10:40 - 11:10

Keynote 2 - Personal Digital Transformation and Holistic Digital Identity

11:10 - 11:40

Keynote 3 - Enabling large-scale multi-party federations with OpenID Connect

11:40 - 12:30休憩
12:30 - 13:00

Open Banking beyond PSD2 in the EU

Device Identity as Yet Untold - エンタープライズ・セキュリティとデバイスIdentity

13:00 - 13:30

次世代IDaaSのポイントは本人確認~NISTと、サプライチェーンセキュリティと、みなしごID~

江川 淳一 — エクスジェンネットワークス株式会社 代表取締役

公開情報から読むCloud-assisted BLE (caBLE) をつかったWebAuthn

13:30- 14:00

OpenIDファウンデーション・ジャパン KYC WGの活動報告

OIDC活⽤で⽬指す⼈やサービスがつながる世界の社会実装

14:00- 14:30

韓国におけるFIDO/eKYC/DIDの現状と今後の取り組み

Bradly Kim — RaonSecure Co., Ltd.R&D Center/CTO

OpenID Connectとネイティブアプリを取り巻く仕様と動向 - Yahoo! JAPANの取り組み

14:30 - 14:50休憩
14:50- 15:20

銀行オープンAPIの実装 ―これまでの歩みとこれから必要なこと

三輪 純平 — 金融庁 フィンテック室長

FIDO (WebAuthN) を利用したID認証のデザインパターン

15:20- 15:50

SNS/FIDOによるセキュアなID統合管理と活用ケース - クラウドID基盤SELMIDのご紹介

花井 杏夏 — 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 西日本ビジネス開発チーム

OpenID Connect Client Initiated Backchannel Authentication Flow (CIBA)のご紹介 ~ その新しいUXと実装例のご紹介

15:50- 16:20

OpenID Connect活用したgBizID(法人共通認証基盤)の現状と今後の展望

満塩 尚史 — 経済産業省 CIO補佐官

Our Identity Experience

16:20 - 16:50

NIIが進める研究データ管理空間

山地 一禎 —国立情報学研究所
(Closed)
16:50 - 17:10休憩
17:10 - 17:40

Closing Keynote - No ID, No DX

(Closed)
17:40 - 17:50

閉会の挨拶

楠 正憲 — 一般社団法人OpenIDファウンデーション・ジャパン 代表理事
(Closed)


前回のサミットで思い出深い点が何点かあるのでその点を少しだけ紹介させてください。

コロナ直前のイベントだった

ちょうどこの直後からコロナの話題が大きく広がり、4月からは全国で外出自粛やリモートワークが展開され、結果としてしばらく大規模イベントとしての開催は休止されたり延期される事態になりました。またいみじくもコロナ禍においてはリモート環境における本人確認などID分野でもさまざまな新しいチャレンジが行われることになりましたが、その直前にこのようなイベントが開催できたのは非常に感慨深いものがありました。

Kim Cameron氏の最後の国際イベント登壇だった

非常に残念なことですが、この年のOpenID SummitがKim Cameron氏存命中の最後のリアル開催のイベント登壇となってしまいました。2020年のSummitでは自己主権型アイデンティティやブロックチェーンにアンカリングされた分散型識別子(DID)が話題に上り始めていた時期だったのでKimにはそれらの動向を踏まえて今後のデジタルアイデンティティがどのように変化してくのかを話してもらいたいというお願いをして来日いただいたのを鮮明に覚えています。
Kimのスピーチはこちら
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自己主権型アイデンティティからVerifiable Credentialsへ

先にも触れた通り、自己主権型アイデンティティの文脈が今後どうなっていくのか?について議論をする目的もありKim Cameron氏に来日いただいたこともあり、実はイベントの翌週にOpenID Foundation関係者で再度イベント(合宿)を行いました。こちらは残念ながら非公開なのですが、主に企画をOpenID FoundationでeKYC and Identity Assurance WGの共同議長を一緒にやっていたTorsten Lodderstedt氏と私で取り回していました。元々はeKYCの文脈で自己主権型アイデンティティや分散型識別子(DID)、検証可能な資格情報(Verifiable Credentials)をどのように利活用すべきか、という議論を半日かけてKim Cameron氏の考えを伺いながら議論をしました。この再度イベントには後にW3CのVerifiable Credentials Working Groupの共同議長、最近OpenID Foundationに設立されたDigital Credentials Protocol Working Groupの共同議長を務めることになる安田クリスチーナさんも参加していました。その流れもありTorsten Lodderstedt氏と安田クリスチーナさんが現在のOpenID for Verifiable Credentials関連のプロファイルの仕様策定者となっているのは非常に感慨深いものがあります。まさにこのサイドイベントがきっかけとなりデジタルクレデンシャルに関する仕様が産まれて4年が経過し、EUや日本の政府機関でもVerifiable Credentialsに関するプロジェクトが進み、まさに今年OpenID Summitが再び東京で開催されるのは運命的なものを感じます。


本当にこの4年間は世界が大きく変わったといっても過言ではない4年間だったと思います。私たちアイデンティティ・コミュニティもKim Cameron氏に加えてCraig Burton氏、そして昨年はVittorio Bertocci氏などかけがえのない方々を送り出すことになってしまいましたし、もしかすると皆様にとっても大切な人々が旅立ってしまったということもあったかもしれません。

ぜひ皆さんもこの4年間を振り返っていただき、OpenID Summitをお迎えください。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

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