2024年6月7日金曜日

European Identity & Cloud Conference クィックレビュー Day3

こんにちは、富士榮です。

引き続きEICに参加しています。
今日は結構詰め込みでセッションがありました。
主にWallet周りが多いですね。しかし、聞けば聞くほど混乱しているなぁ、というようにしか見えなかったので、この辺りの思考の整理は帰国後別途書こうかと思います。

Panel: The Wallets we Want


OWFのDanielがモデレータを務める、ゲストいっぱいのパネルディスカッション。
Martin Kuppinger、Kristina、Anilなどなど

一番良かったキーワードはインドのMOSSIPの人(だったかな?)が言っていた
「WalletにクレデンシャルをIssueするのではなくHolder(ユーザ)にIssueするのである。クレデンシャルのLoAなどによりHolder(ユーザ)がどのWalletに格納するのかを決めれば良いのである」という言葉でしょうか。
みんなWalletという言葉にこだわりすぎですね。

Panel: Expert/Digital Wallet & Verifiers Q+A


次はAnilがモデレータでSpruceIDのWayneなどが参加するパネルです。モデレータのはずのAnilが時間の90%くらい喋って終わってしまったパネル?なセッションでした。

DHSということもありボーダーコントロールの視点が多かったのですが、トラベルパスをVCでやろうとしている取り組みって個人的にはかなり疑問。パスポートの電子化ですよね、それって。

Scaling eIDAS 2.0 Wallets: The Secure Element Problem - Boris Goranov

UbiquのCEOの人の話なのでちょっとバイアスはかかっていると思いますが、先日日本で発表があったApple Walletの話とも若干絡むので一応。


ARF1.4の要件でWSCD(Wallet Secure Cryptographic Device)に関する要件が4つ定義されています。
  1. リモートWSCD:CloudベースのHSMなど
  2. ローカルExternal WSCD:NFC等で通信する国民IDカードのICチップなど
  3. ローカルWSCD:スマホのSecure ElementやSIM
  4. ハイブリッドアーキテクチャ:上記の組み合わせ

比較するとこんな感じ。
さすがUbiqueの人なのでリモートWSCDへ誘導しています。


そして、Apple/Samsung/GoogleはFIPSにしか対応していないぞ、と。

デバイスキーとユーザキーを分離する必要性の話をされますが、うーん、という感じ(個人の意見)。
本当にデバイスバウンドが必要なケースってどこまであるんだろうか、と。先ほどのパネルでも話がありましたがWalletバインドではなくHolderバインドなんですよね、必要なのは。
例えば対面デジタルだとデバイスバウンドではなくで相対しているHolderをクレデンシャルの中の顔写真などでバインドできるわけなのでデバイスバインドはそもそも必要ないはずですし、リモートデジタルの場合でもKYCをするのは誰の役割なのか?というとVerifierの役割の方が比重は大きいはずなんですよ。資格証明の真正性は担保できているから、あとは持ってきた人(Holder)がその資格証明のSubjectと一致していることをKYC等で確認してね、というのが通常の役割分担であるべき(もちろん政府IDなどは別)だと思います。現実OpenBadgeなどはバッジの検証(Validation)とSubjectとHolderの関係性の検証(Verification)は完全に分離されてるんですよね。



Introduction to the German EUDI Wallet Project - Torsten, Paul

TorstenとPaulによるEUDI Walletプロジェクトの紹介です。ドイツでは2025年の夏にはロールアウトされる感じですね。


ここでもやはりユーザ(Holder)バインディングのオプションの検討が進んでいます。
eID-Cardがローカル+External、Cloud Supportが先ほどのUbiqueのようなクラウドHSM、Secure Element Smartphoneがスマホ自体やSIMの話です。



この辺りはクレデンシャルの種類にも依存するよね、というのはその通りなので日本でもちゃんと整理して議論してほしいところです。


Setting the Scene: The future of Digital Travel Credentials

トラベルクレデンシャルの話です。先にも書きましたが、パスポートがあるじゃん、というところとの棲み分けが正直わかりません。

なお、先日の日EUデジタルパートナーシップ協定の話はEU側では結構盛り上がっているようです。このセッションでも取り上げられていましたし、別の文脈でも直接聞かれました。


Best Practice: DIDs and Verifiable Credentials in the Construction Industry

こういうベストプラクティスセッションは結構好きなので片耳だけ話を聞いていました。
建築業界におけるVCの利用に関する話ですね。
ゼネコンがいて多重下請け構造になっているのは海外も同じで、現場でのドキュメント確認(勤怠や健康状態など)は結構大変なのは世界共通のようです。(何しろ命がかかっていることが多いのでこの辺りは結構シビアです)

ということでこんな感じでデジタル化を進めてみてますよ、という話でした。



OpenID for Verifiable Credentials - Torsten, Kristina


OpenID for Verifiable Credentialsに関連するプロトコルの最新情報のUpdateです。

まぁ、この辺りはいいですよね。


今回のEICでアワード受賞をしています!おめでとうございます。

グローバルアドプションの話もあり、Trusted Webの話も出てきました!


そして、まだ未完成ですがOpenID for VCIのコンフォーマンステストについても開発が進んでいるよ、という話もありました。

OID4VPのアップデートではなんと言ってもBrowser APIですね。

Crossing the Chasm: Trusted and Seamless Digital Identity Wallets Going Mainstream - Kristina


Kristinaによるキーノートです。
未来予想として、毎日いろいろなところでWalletとクレデンシャルをフルに活用していく世界観(左)を目指せるといいよね!という話です。

そして、これはドイツのアプローチでもありますが、デジタルパブリックインフラストラクチャ(DPI)の上にプライベートセクター(民間)のイノベーションがあるんだ、だから公共がまずはデジタル化しないといけない、という話です。この辺はGovTech関係の人たちとも共通する考え方だと思いますので、日本でももっと浸透してもらいたいですね。

またBigTechへの依存に関する話もありました。某アジアの国では、、という話も(笑)
やっぱりインフラとアプリやWalletなどの上物の話は分けて考えられるような仕組みにしないとエコシステムは成長しないですよね。


そして今後を見据えるにはタイムスケールをシャープに定義した上で議論を進めないと物事は絶対に進まない、と私も思います。

さて、日本はどうするんでしょうね。



これで3日目もおしまいです。

さて、冒頭にも書きましたが、Wallet周りの混乱は一度整理しておく必要がありそうです。また、今回特に耳にしたのはreuable identityという言葉です。これまでクレデンシャルという言葉でひとくくりにしていたものが別の言葉に置き換えられそうになりつつあります。何がreusableで何がone timeなのかの整理をしていかないとWalletの構造の整理も進まないと思うのですが、まだそこまでの整理は進みきっていないようでした。
この辺りも改めて整理していこうと思います。





2024年6月5日水曜日

European Identity & Cloud Conference クィックレビュー Day2

こんにちは、富士榮です。

※リクエストをいただいたのでデフォルトのフォントサイズを大きくしました。しかし昔ながらのbloggerを使っているので、ちょっと変えるだけでもCSSを自分でいじらないとダメってのが面倒くさい。引っ越したいけど面倒なんですよねぇ。


さて、EICもDay2です。

今日は2つばかりかいつまんで。


The Future of Digital Identity - Jeff Margolies

Saviyntの人ですね。

「The Future of Identity as an AI」

やっぱりAIですね。


電力革命により、パネルを含む全てのデバイスにIPが付与されて稼働する世界がやってきた結果、非常に複雑なシステムとなってきている。

そんな環境においてセキュリティは非常に頭がいたいキーワードとなってきている。

同じく、医療の世界でも、病院に加えて保険、薬局などエコシステムを構成するプレイヤーが増え、患者の情報をどのように安全かつプライバシーに配慮した状態で流通させることができるか、が重要となってきている。

さらにグローバルでの貿易、サプライチェーン管理など、物理的なもの、デジタルアセット、それらをふくめ全てデジタルアイデンティティを持っている世界になってきている。

そんな中で「誰が、何に、なぜ」アクセスするのか、セキュリティを考える必要がある。

そして、アセットを守りつつ人々をエンパワーしないといけない。


キーワードは以下の3つ。

  • Cognitive overload
    • モノが増え、関わる人が増えて、誰が、何に、を正しく認識する必要性が出てきている
  • Aging Infrastructure
    • オンプレに構築されたものなど、レガシーなシステムをどうするか
  • Breach
    • アイデンティティシステム自体が狙われるケースが出てきている


改めて「Identity is the new Perimeter」。現在、アイデンティティがプライマリな制御手段となってきている。

そして、なぜAIがIdentityセキュリティに必要なのか。主には以下の使い方となる。

  • インテリジェントなリコメンデーション
    • AmazonやNetflixなどのリコメンドに慣れ親しんでいる
    • 同じことをアイデンティティにおける意思決定にも活用していくことができる
  • Identity Copilot
    • 生成AIによりUXの改善にとどまらずセキュリティ向上を助けてくれる

そうなると、Visibility、つまり現在あまり視覚化できていないが、誰がどこにいつアクセスしているかをリアルタイムで見れないと分析もできない。

そして、Manage Posture Detect and Respond。何が起きているのか検知して対応することができるようになる。


というところでSavyntのデモが出てくるわけですね。


まぁ、個人的な意見としては分析系のAIというかマシンラーニングをベースとしたリコメンドやリスク分析などは以前から実装されてきているのでイメージはわきますが、MicrosoftのSecurity Copilotのように管理者を助ける仕組みとしてのCopilot以外に生成系AIが使われているイメージがまだないんですよね。CIAM分野でこそ生成AIは役立つ、という論調も多く聞くようになりましたが、まだまだなんだろうなぁ、という感触です。


Multi-Stakeholder Cross-Border Reusable/Decentralized Identity

DNPさん、MUFGさん、ConnectIDさん、NABさん、Meecoさんの日本とオーストラリアのクロスボーダーの観光ユースケースにおける実証実験です。


なんと今回のEICではスピーカーの発話をリアルタイム翻訳をする機能が使えるようになっています。セッション前のリハーサルでは試してみて使えそうな感じはしましたが、結局皆さん全部英語で喋っていたので出番はありませんでしたが。

まず岡本さんからシナリオの説明です。

シナリオとしては、東京を訪れたオーストラリアからの観光客の身元確認を銀行のIDなどを使いデジタルで行う、というものです。

日本では観光客が物理的なパスポートやチケットの提示が求められる場面が多数ありますが、ビジターにはあまり良い体験とは言えません。確かにデジタルクレデンシャルの取り組みは日本のみならずアジアの国々でも進んでいるのですが、それぞれが国内のみで閉じていて訪日外国人が使えるとこまでは至っていない状態です。

そこでオーストラリアと日本でのクロスボーダーシナリオに取り組んだ、というわけです。


次はOpenID FoundationのVice ChairmanでもあるDimaからConnectIDの話です。

ConnectIDは主にオーストラリアでIDビジネスを行なっており、

  • Identity owners
  • IdP
  • RP
  • Network operator

の4つの顔を持っているとのことです。先述のとおり、これまではオーストラリアの中でのビジネスをしてきましたが、最近はSIDI HubやGAINなどグローバルの話もあり、クロスボーダーシナリオにも標準化の側面も含め力を入れていっているようです。


次に今回日本側とオーストラリア側のブリッジを担った技術を提供したMeecoのJanからの説明です。Meecoではholder walletとorganization wallet、そしてplatformを持っており、今回日本とオーストラリアのブリッジを作ったということです。



ゲートウェイを作った感じなんでしょうね。

大切にしたポイントとして標準仕様とプロファイルの話がありました。結果として以下を選定したそうです。

  • プロファイル:HAIP
  • クレデンシャルフォーマット:SD-JWT VC
  • スキーマ:ConnectIDのスキーマ+KYC、EU PID
  • 発行:OpenID for Verifiable Credential Issuance
  • 提示:OpenID for Verifiable Presentations
  • Trust:OpenID Federation

次はNAB(National Australia Bank)のOlafさんです。

銀行のIDでログインしてアイデンティティ情報を発行するというシナリオです。KYC済みのIDの提供ということで今回のプロジェクトに参加しているMUFGさんはもちろん携帯キャリアさんもAPI経由でのID情報提供などをしていますが、やはり個人のID情報の提供は政府・銀行・キャリアが行うことになるのでしょうね。




そして、MUFGの大村さん日本におけるTrustの話がありました。DFFTの話からTrusted Webの話にも触れられました。


また、MUFGさんと言えばメタバースも、ということで分散型ID関係の取り組みの紹介がありました。


今回のPoCでは旅行・観光を選択した理由の一つとして、やはりオーストラリアからの観光客も増加していることなども挙げられました。

他にもプロジェクトの目的・チャレンジが以下のように紹介されました。


QAセッションもあったのですが、その中でなるほど、というか出るだろうなと思っていたのがトラストの問題です。ゲートウェイやプロキシのモデルでプロトコルレベルでの接続は当然できるのですが、VerifierからするとIssuerの信頼性をどうやって確認のか?特にトラストフレームワークが異なる複数の国や業界の間での信頼確立は非常に難しい問題です。この辺りはSIDI Hubでも取り組まれている領域ですが、標準的なマッピング表現などが今後は必要になってくるのではないかと個人的には思いました。


現状はまだ実際のユーザを巻き込んだ実証はしていないそうですが、来年は実際のHolderもまきこんだPoCの結果を見せたい、というコメントもありましたので今後に期待したいと思います。


今日はここまでです。先週のIdentiverseからの連続ということもあり生活するためにコインランドリーにきています。

日本にも出店しているFreddy Leckです。喫茶店とコインランドリーが合体したような作りでおしゃれだということで有名らしいです。コインランドリーと言いつつ、店員に使ったメニューを伝えて会計してもらう、という形式なのでどこにもコインの要素はありませんでしたが。

https://www.freddy-leck-sein-waschsalon.jp/salon/








European Identity & Cloud Conference クィックレビュー Day1

こんにちは、富士榮です。

Identiverseが終わり、そのままベルリンに来ています。

SIDI Hubの会合がドイツ政府の支援で開催されたので参加し、そのまま本日からEuropean Identity & Cloud Conference(EIC)です。ラスベガス〜シカゴ〜フランクフルト〜ベルリンの乗り継ぎでほぼ20時間くらいかかりました。。。

Identiverseは15周年でしたがEICは17年目だそうです。どちらも歴史のあるイベントですね。


ということで初日の午前のワークショップ〜午後のキーノートをかいつまんでメモしていきます。


Decentralized ID Technical Mastery Sprint - Kim Hamilton Duffy, Steven McCown


たまにはDIFな人たちの話も聞いてみようと思って参加してみました。(あと、Identiverseで農業分野へのVC適用に関する話をしていたAnonyomeの人とサイドミーティングをしていて、彼らの会社のアーキテクトが出るから見にきてよ!って誘われたのも一つの理由です)

最初に「Decentralized Identityのコンセプトに慣れ親しんでいる人〜?」というアンケートがあり、回答はこんなところです。まあまあ広がってきた感じですね。

  • 49%: Somewhat familiar
  • 27% Have heard of it but don't know much
  • 17% Verify Familiar
  • 7% not familiar at all

ということで内容です。


まずは課題設定です。

セキュリティの問題

  • 2022年のアカウント乗っ取り
    • 250億のクレデンシャルが漏洩
    • 2020年に比べて65%増加
プライバシーの問題(例:Aadhhar Cardの漏洩)
  • 2023年
    • 815MのID情報の漏洩があった
    • 個人情報とバイオメトリクス情報が漏れ、ダークウェブで販売された
  • 2018年
    • 11億のカードが漏れた
      • 個人データと写真
      • 匿名でWhatsApps上で販売された
→「アイデンティティはハッカーの標的になっている」と言える。
Aadhaarは人数も多いこともあって漏洩数が半端ないですね・・・


次に「デジタルアイデンティティとは何か?」という定義の話です。
  • ほとんどはコミュニケーションエンドポイントのIDを使っている
    • メール
    • 電話番号
    • カード番号
    • SNSのハンドル
  • 現状
    • プロバイダにロックインされている
    • AIでプロファイリングされている
    • マネタイズの手段とされている(売られたりターゲット広告に使われたり)
  • 課題
    • セキュリティを強化できる?
    • プライベートのデータのコントロールできる?
    • 他と相互利用できる?
うーん、アイデンティティというより識別子寄りの話をしていますね・・・

次はトラストについてです。
現在のトラストアーキテクチャ
  • ネットワークの障壁がなくなったのが大きなパラダイムシフトが起きた
  • そうなったときに、
    • MiTMの可能性は?
    • ToU、プライバシーポリシーは用をなすのか?
  • HTTPS万能と言えるのか?
トラストというよりもIdentity is the new perimeterの話ですね。

そして、「なぜDecentralized Identityなのか」
  • 以下のコントロールをできる?
    • IDの作成と所有
    • プロバイダの選択
    • データ共有の制御
    • End to Endのセキュリティ
    • など
 →Decentralized Identityはトラストをエンハンスすると言える
  • 今のTrustの構造
    • CAを全面的に信頼
  • DIは以下を使って状況を変化させる
    • Decentralized Identifiers(DIDs)
    • DID Documents
    • Verifiable Data Registry(VDRs)
    • Verifiable Credentials(VC)
    • Zero Knowledge Proof(ZKP)
やっぱり識別子の話とネットワークの話っぽいです。

基礎コースということもあり、この辺りから個別の要素に関する解説がありました。

DIDとは?
  • 形式
    • WebアドレスのようなURIs
    • ホルダーによりコントロールされる
  • 種類
    • タイプ(メソッド)はVDRに基づく
    • Peer DIDs(2つのホルダー間) ※この辺はDIDCommな人の意見だなぁ
  • 機能
    • DIDメソッドによりリゾルブされる
    • DID Documentをポイントする
  • DIDプロバイダ
    • たくさん。相互運用性がある ※本当か?
VDRとは?
  • DIDにより解決されるDID Documentをセキュアに保存するデータストア
  • VDRは以下で特定を持つことが好ましい
    • Immutable
    • Decentralized
    • Privacy preserving
    • Secure
DIDメソッドとは?
  • 以下の処理を行う
    • DIDを受け付けてDID Documentを返却する
    • DID Documentの真正性を検証する
    • VDR上に保存されているデータにアクセスする
  • DIDメソッドの選択
    • セキュアであること
    • 信頼性があること
    • 全て相互運用性がある
どうやってDIDを解決するのか
  • Universal Resolver
    • DNSの解決に似ている
    • DID Documentは暗号学的に検証するためのメソッドを持っている
  • 以下がデプロイされている例
    • DIF Universal Resolver
    • Cheqd Universal Resolver
  • 自前でホストすることも可能
DIDとその他の暗号部品を保持する(Walletの話)
  • DIDや鍵などを保存する
  • Wallet
Verifiable Credentialsとは
  • 物理的なクレデンシャルと同じものをデジタルで持つことができるか?
  • バイオメトリクスと一緒に使うこともできる
  • 電子的に発行できて提示することができる
  • 暗号学的に検証ができる
  • 選択的開示
  • プライバシー保護
DIDベースのCommunication
  • DIDComm:DIDベースの暗号コミュニケーションプロトコル
既存のシステムとの統合
  • OpenID
    • WebサイトへログインするときにIdPへリダイレクトされ露pグインする
    • 外部のDecentralized Identityのプロトコルをサポートしていない
  • OpenID + DIDComm
    • DIDCommの接続をするときの認証をOpenID Connectでする
  • デモ
    • IDUnion/OpenID+DIDComm
      • これですな
      • 以下の組み合わせで動くようです
        • OpenID for Verifiable Credential Issuance
        • DIDComm
      • OID4VC + DIDComm Tokenのデモをしてくれました
        • VCIでCreate Offer
        • DIDComm Chatを開始してDIDCommトークンを取得する

Currently the two OpenID4VCI/VP-Protocols are missing a feature to enable future communication between the involved parties. To add this feature to the OpenID4VCI/VP-Protocols we want to utilize DIDComm, a transport agnostic messaging protocol based on Decentralized Identifiers (DIDs).

って言うけど、いまいち良さがわからないです。IssuerがWalletとチャネルを開いておきたいってケースですかね?先日のIIWでOliverが話していたSSFとOID4VCIを組み合わせる的な話でRevocationをWalletに伝えたい、とか。

発行と交換のフロー
  • 質問
    • どうやってクレデンシャルはWalletの中に入るのか
    • どうやってIssuerはサブジェクトやホルダーのDIDを取得するのか
    • どうやってVerifierはHolderに必要とする情報を指定するのか
  • 起動
    • Deepリンク、QRコード、DIDCommメッセージ
  • スタックレイヤー
    • Data・クエリフォーマット(PE、Credential Manifest、W3C CCG Queryなど)
    • プロトコル(OID4VP/VCI、PE over DIDComm、W3C CHAPIなど
  • UX/プライバシー考慮
    • 大規模展開をする際、手動で選択させるのはダメ
    • 同意の取得

この辺りから設計方針のような話になってきます。

WalletなのかAgentなのか
  • Wallet
    • 人間が起動する
    • モバイルアプリかWebベース
    • エージェントを使える
  • Agent
    • 自動的に動く
    • サービスエンドポイントがクラウドに公開されている
    • 一般的なメッセージングとコミュニケーションを行う
  • 共通点
    • デジタルクレデンシャルを管理する
    • セキュリティ、プライバシー同意管理を行う
DIDメソッドを選択する際の考慮点
  • VC識別子、URLなのかDIDなのか
  • ユースケースにフィットするか、コンプライアンス、プライバシー、どのくらいの期間利用するか、相互運用性は
  • DIDメソッドが持つ機能(CRUD、特にUpdateやDelete)は?
  • 利用パターン
    • 組織:既存の信頼できるインフラに依存できる
      • did:web、tdwなど
    • 個人:コスト、生成できる、更新がない
  • 導入者向けの評価基準
    • 技術的なフィージビリティ
    • 成熟したオープンソースの実装の存在
    • コスト効果・インパクト
    • 特定のネットワークやブロックチェーンへのロックイン
    • DID Method Rubricのフレームワークを見ると良い
ストレージパターンと鍵管理
  • ストレージパターン
    • ときに組織は情報を保持することを求める
    • ユーザの代わりに保存する(クラウドWallet、バックアップ)
    • Immutable/Mutable、ブロックチェーンの役割
  • 鍵管理
    • アルゴリズム(レギュレーションやセキュリティ上の要求に依存)
      • パラレル署名など
    • ストレージ(HSMなど)
DID/VCがwebアーキテクチャを跨ぐ・・・
  • web2.0〜web5まで

なんだかweb2、3、5みたいな話になってくると途端に怪しさが増すのはなんでなんでしょうか・・・

続いて自己主権とかプライバシーについてです。 

自己主権、トラスト、プライバシーのための設計
  • ユーザセントリック
    • 同意管理
    • プライバシーバイデザイン
  • リカバリ
    • バックアップ、再発行
  • 可用性
  • 耐性
    • 低帯域・リソースがPoorな環境での利用
    • オプトアウト
  • セキュリティ(アタック対策など)
    • ゼロトラスト
    • 冗長性、フェイルオーバーなど
SSIに関する考慮点
  • 紐付けを減らす
  • 最小限開示の原則
  • Phoneホームを避ける
Integration Strategies
  • ミドルウェアソリューション:DIF veramo
  • 標準APIの利用(W3C VC APIなど)
  • フェーズ単位のロールアウト
  • 相互運用性の例
    • OpenIDidComm
    • 既存のソースにアンカリングする:did:web/did:tdw
  • 分散台帳の懸念:耐性、インデクシング
認証・認可
  • これまでと変わらないこと
    • アシュアランスレベルの考え方
    • 既存の方法やトラスト構築のチャネルを再利用できる
  • 変わること
    • 個人
      • DID Authentication
      • Holder binding
      • Credentials, capabilities
    • 組織
      • ガバナンスフレームワーク
      • トラストレジストリ
トラストの確立とエコシステム
  • X.509
  • Trust Spanning Protocol
  • Credential trust enablement
  • OpenID Connect Federation
  • TRAIN
  • IRMA
  • EBSI
  • Signed & hosted or distributed Verifiable Credential
  • Custom
    • Verifier checks registry
    • Verifier allow-list issuers
ケーススタディ
  • サプライチェーン
  • US DHS SVIP
  • Education Credentials, ASU(アリゾナ州立大学) Trusted Learner Network
  • IoT
プロジェクト管理上の考慮点
  • リスク管理
    • 技術の成熟度(標準、ライブラリ)
    • 信頼性に関する考慮
  • ステークホルダーの巻き込み
    • ユーザ、利便性など
  • UX/デザイン
  • 考慮点の分解
    • システムアーキテクトは戦略に沿っているかどうかにフォーカスする
    • プロジェクトマネージョンは要求を決定する
    • アーキテクト、開発者は適切なDIDメソッドを選択する
Veramoを使ったデモ

とりあえずこんな流れで説明がありました。

初心者向けには体系立てて説明があったのでわかりやすかったと思います。

が、かなり誤解を招く部分も多かったので、ちゃんと技術者に正確に話をする機会の必要性を改めて感じました。これは日本においても同じことが言えると思います。

 


午後からはキーノートがありました。

Vision 2030: Rethinking Digital Identity in the Era of AI and Decentralization - Martin Kuppinger


安定のMartin Kuppingerからのオープンイングです。スライドがうまく映らないトラブルがありましたが、いつものごとく将来のビジョンを語ってくれました。
ものすごく簡単にまとめると、
  • Decentralized IdentityとAIが今後デジタルアイデンティティのパズルを解くコアとなる
  • これまでもアイデンティティシステムのサイロ化が問題となっていたが、今後はウォレットのサイロ化が問題となるので取り組まなければならない
という話がありました。

前者についてはDecentralized IdentityとAI(分析系と生成系)を中心に据えてさまざまなアイデンティティシステムの構成要素が繋がってくる「パズル」が完成する、という話です。

見にくいですが、ちょうど真ん中にDecentralized Identityが、左側に分析系AIそしてそこから繋がるワークフォースIDなどエンタープライズIDが、右側に生成系AIそしてそこから繋がるコンシューマID、プライバシーなど繋がっていきパズルが完成していっています。

次のサイロの問題については、これまではディレクトリを中心にサイロが出来上がっていました。例えば、IGA+ディレクトリやCIAM+ディレクトリ、個別のアプリのアイデンティティシステムなどディレクトリ(データベース)を中心にアイデンティティシステムが乱立する状態となっていたわけです。
しかしながら、これからのアイデンティティのサイロはウォレットを中心に構成されることになりそうです。この課題を解くには、オープンネスやUI/UX、相互運用性などさまざまな取り組みが必要となりそうです。

また最後に、ポリシーの話がありました。全てのものが動的になってきており、ポリシーベースでさまざまなシステムが構成されていかないとビジネスのアジリティにITが追いつかなくなってしまう、というわけです。ローン審査やIGAの自動化などの例をベースにこの辺りの説明がありました。

「Think Beyond IAM: Digital, Decentralized Identities」
このあたりがメッセージでした。AIとDecentralized IdentityがIAMを次のステージに押し上げるためのキードライバーとなっているということです。


Protocols, Payloads, Policies, Oh My! : How can Enterprise Customers Make Better Decisions? - Anil John


続いて、DHSのAnil Johnのキーノートです。
DHSのSVIP(Silicon Valley Innovation Program)のテクニカルディレクターとしてどのように意思決定を行なってきたのか、というプロセスについての話が中心でした。

彼がより良い決定を行うための4つのステップとして以下を挙げています。
  1. Widen your options
  2. Reality-test your assumption
  3. Attain distance before deciding
  4. Prepare to be wrong

順番に説明すると、Widen your optionsについては、多様でグローバルな才能とテクノロジーを使う(スタートアップ・SMB、女性、マイノリティー、ベンチャーバックエンド)、そのためにはUSの外のスタートアップとも付き合う、ということを挙げています。

また、Reality-test your assumptionについてはかなり慎重に物事を進める側面も見て取れます。全てにおいて、テストをして検証をしてそれから信じる、というステップを徹底しています。
リスク分析もビジネス面〜技術面、セキュリティ・プライバシー面〜展開時のリスク、と順をおってファンネルのようにスクリーニングを行い、最後に代替手段は本当にないのか?を含めて検討を行って初めて意思決定が行われる、ということです。

そしてAttain distance before decidingではデジタル化は要件そのものではない、ということを含めて一回課題を俯瞰して原点に立ち返ることの重要性についても話をしていました。

最後のPrepare to be wrongについては標準化を例に挙げて、複数の標準化団体がスタンダードを作っており、一つの団体で物事が完結することはありえないという前提をベースに「& not ||」つまりandでありorではない、という選定の原則を話していました。

IAM at the Front of the Cyber War - are we Able to Beat the Bad Guys? - Ivo van Bennekom


EMEA Digital Identity Leader for PwCな人の話です。
この辺からサイバーセキュリティの話のコーナーになりました。

Digital IdentityはPwCのコアビジネスということで、地域ごとの構成比率について紹介していたりもしました。
  • APAC:18%
  • 北アメリカ:52%
  • EMEA:23%
  • ラテンアメリカ:2%
まだまだ北米ですねぇ。APACももう少し規模が大きくなるといいですね。

前回のEICから起きたこととして、
  • ウクライナ、ガザの紛争
  • フィンランドとスウェーデンがNATOへの接近
  • COVIDは終わったが社会を変えた
  • 生成IAが民主化された
  • クラウドとデジタルトランスミッションがモメンタムを得た
という変化を挙げ、サイバー攻撃も社会情勢に沿って変化していることが示されました。
例えば、2023年12月にはウクライナの最大のテレコムオペレータの2400万ユーザのデータへの対する攻撃が続いたり、スウェーデンではランサムウェアにより酒棚が空っぽになった、などの事件が説明されました。

そしてサイバーセキュリティ対策のまとめとして上記の写真の通りのまとめが発表されました。

そして、いま導入すべきものとして、以下の4つが紹介されています。
  • ゼロトラスト。強固で継続的な認証の仕組み
  • セキュリティモニタリングと統合された機能
  • ガバナンス。新しい働き方に合わせて継続的なサイクルでポリシーとプロセスをリフレッシュしていく
  • DevOps for IAM。サイバーテクノロジー導入のためのアジリティ・スピードが対応速度とレジリエンスを高める

また、最後に次世代に向けて考えるべきこととして以下の2点を挙げてセッションを終えました。
  • bio-hacking対策
  • クォンタムセーフなIAMソリューション

Into the Wild and Beyond the Enterprise - Katryna Dow


この辺りからEUDIWの話が中心になります。MeecoのCEOの人ですね。

現在の2大プラットフォームベンダであるGoogle AppleがWalletの世界でも勝つのか、eIDAS、OWFが目指す相互運用性のある世界を生み出すのか、このあたりが特にWalletモデルでビジネスをやっている人たちの大きな関心事だと思います。

面白い視点としては、ウォレットが単体アプリではなく、他のアプリに埋め込む、例えばコーヒーマシンや車がウォレットとなるということもありえるという話がありました。
そして、少なくとも私たちはウォレットに対して以下の期待をしているという整理がありました。
  • クレデンシャルごとのウォレットは求められていない
  • 2つのプラットフォーム(Google、Apple)だけが信頼されるウォレットではない
  • Issuerは複数のWalletへ発行できる必要がある
また、ビジネスモデルを考える上で以下の2つのアスペクトで考えていく必要がある、との話もありました。この辺りはスイートを作って提供しているベンダはかなり考えているんだと思います。
  • Net New Value:新しい価値(検証など)
  • Time to Value:効率化(オンボーディングの効率化など)

最後にDNP、MUFGなどとの相互接続プロジェクトの話を明日するよ、という告知をしてセッションは終わりました。

eIDAS 2.0 in Germany: Progress, Impact, Challenges - Dr. Moritz Heuberger


ドイツにおいてEUDIWを進めるためのアーキテクチャ検討とそのコンサルテーションプロセスについて説明がされました。

大きくは、
  1. 法的要求事項を実装する
  2. デジタライゼーションの成功により社会にインパクトを与える
  3. 公開で広く巻き込み、イノベーションコンペティションを行う
という点を重視して進めてきたようです。

特にパブリックに色々な人たちを巻き込んでいくというところでは以前紹介したFUNKE(イノベーションコンペティション)の話がされました。

これらのことを経て、ドイツにおけるEUDIWの最終的なコンセプトは2025年の夏に完成する見込み、ということです。日本も早く決めていけるといいですね。

Les Miserables of the Cyber Frontier: The Dueling Narratives of Decentralized Identities - Markus Sabadello, Nat Sakimura


崎村さんのブログでも告知されていた、Markusと崎村さんのセッションです。
先日のOpenID Summitでも話していただいた「分散の誤謬」と過去のOpenID Summitでも話された「レミゼラブル」の話の集大成となるセッションだと思います。

Markusとの掛け合い?寸劇?が面白かったです。

分散か集中か、から始まり論争になっているさまざまな題材に掛け合いをしていきます。どっちが自由か、どっちが平等か、

W3C VCDM vs. SD-JWT VC



DIDs vs. cnf JWT claim + VC Issuer Metadata

DIDComm vs. OID4VC

集中から分散の間にもグラデーションがあるよね、という話。

分散は時にして別のところに集中箇所をずらしているだけですよね、って話です。ブロックチェーンを例に挙げてノードの集中→分散をした代わりに台帳の集中が発生していることを話されています。

分散がゴールじゃない。市民が幸せになることだよ!
レミゼラブルの話を例にアイデンティティの紐付けの問題を解説するのは何度聞いても本当に勉強になります。以下のQRコードは英語版ですが、元々の日本語版の記事は本当に参考になるので読んでいない人はこの機会にぜひ読みましょう。2010年の記事ですが全く色褪せていません。


ということで初日はおしまいです。
お疲れ様でした。