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2025年3月30日日曜日

GビズIDの大幅アップデートとOpenID Connect for Identity Assuranceへの対応

こんにちは、富士榮です。

いわゆる法人共通認証基盤と呼ばれる、デジタル庁が提供しているGビズIDの大幅アップデートが公開されましたね。
出典)デジタル庁 - GビズID https://gbiz-id.go.jp/top/


GビズIDについてはこれまでもOpenIDファウンデーションジャパンのイベント等に古くは経産省、デジタル庁へ移管されてからはデジタル庁の方々にお越しいただき技術仕様やトラストフレームワークについてご発表いただいてきました。

OpenID Summit Tokyo 2020 - 2020/1/24

OpenID BizDay #14 - 2021/1/27

OpenID BizDay #15 - 2023/1/10

OpenID BizDay #17 - 2025/2/19

GビズIDについて

簡単に言うと、GビズIDは企業の代表や従業員などが当該の企業に所属していることを表し、例えば補助金の申請などの行政手続きをオンラインで実施することを可能にするためのID基盤ですね。
そのためには当然、当該の企業が実在していること、そしてGビズIDを利用する代表者や従業員が当該企業と適切に関係しており所属していることを保証していくことが重要です。

ここは非常に重要な一方でまだまだ課題も多く、例えば現状は法人の実在性について法務局の発行する印鑑証明書や個人事業主の場合は市町村の発行する印鑑登録証明書を使うことで確認することになりますが、アカウントライフサイクルは各利用企業側に任せるしかないという状況があったりします。


法人共通認証基盤の必要性

この考え方は何も日本だけで必要とされているわけではなく、海外においても同様の要求はあるわけです。OpenID FoundationのeKYC and Identity Assurance Working Groupでは個人の本人確認がどのようにIdentity Providerで実施されたかという情報をRelying Partyへ伝達するためのOpenID Connect for Identity Assurance(最近正式化されましたね!)に加えて、個人が法人とどのような関係性にあるのかを表現するためのAuthority Claims Extensionの開発を進めています。この辺りは日本のOpenIDファウンデーションジャパンのKYC WGの参加メンバーの方々とも協力して国際標準への道筋をうまく作っていきたいところです。

参考)eKYC and Identity Assurance Working Group


GビズIDのアップデート概要

こう言うのは更新履歴を見ていくのが重要ですね。
デジタル庁が公開しているシステム連携ガイドを見ると技術仕様を含め確認ができるので、こちらの更新履歴を見てみましょう。なお、現在「行政サービス向け」のシステム連携ガイドが公開されていますが、そもそも現状のGビズIDは民間サービスとの連携を許可していません。それにもかかわらず行政サービス向け、と明記されているのは今後の民間サービスへの展開を見据えてのことなのかな、、と期待が膨らみますね。

早速更新履歴を見ていきましょう。すでにバージョン2.3なんですね。


結構更新が多いです。さすが大型アップデートです。

個人的に関心が高かったのは、以下の2点です。
  • アカウント種別に管理者(GビズIDメンバー(管理者))が増えた
  • GビズIDトラストフレームワークが策定され、IAL/AALが明記された
アカウント種別はこれまでプライム、メンバー、エントリーの3種類で、原則プライムは法人代表者のためのアカウントでした。そして、メンバーアカウントの作成や管理はプライムの権限者が実施するしかなかったわけですが、いちいち代表者がログインしてアカウント管理をするのか!!という課題も大きかったのだと思います。GビズIDメンバー(管理者)というアカウント管理権限を持ったアカウントを作成することができるようになりました。
ちなみにGビズIDプライムのアカウントはマイナンバーカードを使ったオンライン申請もできるようになってますね。


トラストフレームワークについても別文書で定義されています。
法人共通認証基盤におけるトラストフレームワーク

システム連携ガイドにもざっくりとしたレベル感は記載されていますので、Relying Partyは扱う情報の機密レベルやリスク度合いに応じてどのアカウント種別を要求するか決めていく必要があります。


OpenID Connect for Identity Assuranceへの対応

タイトルにも書いた通り、今回のGビズIDのアップデートの目玉はOpenID Connect for Identity Assurance(OIDC4IDA)への対応です。といっても結論フルスペック対応ではなく、スキーマについてある程度対応した、という程度ではありますが国が提供するサービスに新しい技術仕様が採用されていくのは非常に嬉しいことですね。

具体的にはscopeにjp_gbizid_v1_idaを指定することでOIDC4IDAに対応した属性情報を取得できるようになるようです。

実際に返却される属性(verified_claims)は下記の通りです。
要するにGビズIDのトラストフレームワークに従い、どのような審査・確認が行われたアカウントなのか、という情報がRelying Partyに対して送出されるようになるわけです。

よく見るとauthorityに関する属性も返していますね。この辺りは現在eKYC and Identity Assurance Working Groupで開発を進めているAuthority Claims Extensionを先取りした感じです。

サンプルレスポンスも書いてあります。

組織情報の詳細についても返却できるようになっていますね。

こんな感じで当該組織でそのアカウントがどのような役割を持っているのかが表現できるようになっています。



これはちゃんとこのドキュメントを英訳してグローバルで発信していかないといけませんね。結構先進的なことをやっているので海外の実装者や政府機関にとっても非常に参考になると思います。>デジタル庁さん、がんばってください!













2024年9月15日日曜日

デジタル認証アプリを利用するサービス一覧が更新

こんにちは、富士榮です。


デジタル認証アプリと連携するサービス(事業者)一覧が大幅に更新されています。

https://services.digital.go.jp/auth-and-sign/case-studies/



2024年6月にアプリがリリースされた際は横浜市と三菱UFJ銀行のアプリの2つだけでしたが、この3ヶ月で15個まで増えています。

6月時点のポスト

https://idmlab.eidentity.jp/2024/06/blog-post.html


ざっとみていくと、

  • 事業者や自治体のアプリそのものが連携するパターン
  • 都市OSやIDaaSなどのプラットフォームが連携するパターン
  • 本人確認アプリなど他の事業者アプリから呼び出されるアプリが連携するパターン
に分類されそうです。


短期間で多くのサービスと連携できるようになってきているのは非常に良いことだと思いますが、この辺りに書いたようにアプリの乱立や認証アプリと連携したアプリがあたかもマイナンバーカードそのものを使った本人確認とみなされるようなミスリードが起きないように注意が必要ですね。
マイナンバーカードを読み取るアプリがいっぱい
デジタルクレデンシャルによる「本人確認」と「身元確認」


2024年8月3日土曜日

国家資格等のオンライン・デジタル化が始まる

こんにちは、富士榮です。

マイナンバーカード、保険証、運転免許証、など従来は物理カードで発行されていたものがどんどんデジタル化が進んでいます。
日本の場合、国が進めるデジタル資格証明のクレデンシャルフォーマットはmDocになるのでしょうか。やっぱりApple Walletに搭載できるようになるのとISO・デジュール標準であることが大きいのでしょうか。

以前から方針は公開されていましたが、デジタル庁から8月6日より一部の国家資格が実際にデジタル化されることが表明されました。

8月6日からデジタル化の対象となるのは、
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 公認心理師
の4つのようですが、今年の11月、来年の3月、とマイルストーンごとに多くの資格がデジタル化される計画となっています。
デジタル庁の資料より



小さいので抜粋してみると、それぞれのマイルストーンで以下の資格が対象となるようです。
令和6年11月頃
医師、歯科医師、看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、衛生検査技師、死体解剖、医師臨床研修修了者、歯科医師臨床研修修了者、医師少数区域経験認定医、薬剤師、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、救急救命士、管理栄養士、社会保険労務士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師

令和7年3月頃
柔道整復師、保険医、保険薬剤師、国家戦略特別区域限定保育士、保育士、介護支援専門員、准看護師、栄養士、難病指定医(協力難病指定医)、小児慢性特定疾病指定医、税理士

令和7年度以降
小型船舶操縦士、行政書士、司法試験、司法試験予備試験、建築物環境衛生管理技術者、建築物調査員、建築設備等検査員、建築基準適合判定資格者、構造計算適合判定資格者、情報処理安全確保支援士、海技士、調理師、精神保健指定医、キャリアコンサルタント、給水装置工事主任技術者、専門調理師、技能士(131種)、労働安全衛生法による免許(20種)、技能講習修了証(69種)、登録販売者、全国通訳案内士、地域通訳案内士、職業訓練指導員、製菓衛生師、クリーニング師、受胎調節実地指導員、教員、一級建築士、二級建築士、木造建築士、マンション管理士、自動車整備士、海事代理士、衛生管理者、救命艇手、理容師、美容師、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、作業環境測定士、特定社会保険労務士、年金数理人


この業界にいると令和7年度以降にカテゴライズされている、情報処理安全確保支援士とかが多いんでしょうかね。
このためだけに資格取得をしてみたくなりましたが、独学で取得できそうな資格はのきなみ令和7年度以降になっているので諦めました。

一応ChatGPTに令和6年11月度が対象の資格を入れて独学での取得可否を聞いてみました。そうですか、社労士ですか・・・
社会保険労務士は独学での取得が可能です。試験は法律に関する知識が問われますが、独学用の教材が豊富にあり、独学で合格を目指す受験者も多くいます。 
その他の資格(医師、歯科医師、看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、衛生検査技師、死体解剖、医師臨床研修修了者、歯科医師臨床研修修了者、医師少数区域経験認定医、薬剤師、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、救急救命士、管理栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)に関しては、必ず指定の教育課程や実習が必要であり、独学のみで取得することはできません。これらの資格は専門の学校やプログラムを修了しないと受験資格が得られないため、独学での取得は不可能です。
今月からの4つについては、
介護福祉士は、一定の実務経験を持つ者であれば独学で受験が可能です。実務経験が必要なため、完全な独学とは言いにくいですが、必要な知識を独学で学ぶことは可能です。
とのことなのですが、実務経験はないので諦めます。

令和7年3月度のものを対象にすると、こんな回答でした。
税理士試験は独学での受験が可能です。ただし、非常に難易度が高く、多くの受験者が専門学校や通信講座を利用しているのが現状です。試験に合格するには5科目に合格する必要があり、受験科目ごとに独学で学習することが可能です。

保育士試験は独学での受験が可能ですが、試験範囲が広く、実技試験も含まれるため、独学のみでの取得は難易度が高いです。とはいえ、教材や過去問集を利用すれば、独学で合格することも可能です。 


 まぁ、国家資格なので当然ではありますが、mDoc目当てで資格取得するのはやめておきます。

2024年7月12日金曜日

DS-500 行政手続きにおけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドラインの中間とりまとめが公開されています

こんにちは、富士榮です。

DS-500と言っても行政マニアにしか通じないんだろうなぁ、と思いつつ私も少しだけお手伝いさせていただいておりました「行政手続きにおけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」の令和5年度の中間とりまとめが公開されました。


https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines
こちらのURLkぁらDS-500で検索すると探しやすいと思います。結構下の方にあります。

NIST SP800-63-4の様子を見ながら今年もUpdateを続けていくことになろうかと思います。というか早くSPD(Second Public Draft)。。。
引き続きお手伝いしていければと思います。

2024年6月21日金曜日

デジタル認証アプリがついにやってきた

こんにちは、富士榮です。

このブログでも色々と取り上げたり、各種記事でも話題になったデジタル庁の認証アプリがついにリリースされるようです。

今回のニュースリリース

https://www.digital.go.jp/news/f0d122a1-0608-4e99-b6c6-59461900ca0a

※なんか消えたみたいです。(復活したみたいです)

アプリのページは残っています。 

https://services.digital.go.jp/auth-and-sign/ 


これまでの記事など

読売新聞(若江さんの記事)※崎村さんの「なだこれは」が頭の中でリフレインされると話題になった

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240423-OYT1T50126/

日経BP(長倉さんの記事)

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00989/022000140/

当ブログでも

https://idmlab.eidentity.jp/2024/04/blog-post.html



軽く公開された資料を眺めた程度ですが、まとめるとこんな感じかと。

  • 実装ガイドラインおよび民間向けと行政機関向けそれぞれのAPIリファレンスが公開されている
  • 6/24から利用したい事業者の登録申請が開始される
  • すでに「横浜市 子育て応援アプリ(パマトコ)」と「三菱UFJ銀行スマート口座開設」への導入が予定されている
  • 開発者向けのAPIリファレンス等が公開されている(割とシンプルなOpenID ConnectのOP)
  • 認証と署名はスコープで使い分ける仕組みになっている(署名の場合はsignをスコープに指定する)
  • 取得できるのは基本4情報となっている(券面の写真なんかは取得できなさそう)
  • Discoveryエンドポイントはすでに公開されている(本番環境:https://auth-and-sign.go.jp/api/realms/main/.well-known/openid-configuration
  • パブコメにも書いた国による情報収集の話はFAQに『デジタル庁は、「電子証明書のシリアル番号」を保有しますが、氏名や住所等をはじめ、その他の個人に関する情報は保存しません。(デジタル庁は、行政機関等及び民間事業者から依頼を受けて署名API又は4情報連携機能を提供する場合は、氏名等の4情報を一時的に保持しますが、1時間以内に必要な処理を行った後、デジタル認証アプリサーバから削除します。)』と記載された

導入予定のサービスとして横浜市子育て応援アプリと三菱UFJ銀行スマート口座開設が紹介されています。

Discoveryエンドポイントは公開済みなので色々と実装が見えてきます。

国による情報収集についてはFAQに記載されました。


全般的に良い方向だと思うので、色々なところで使えるようになるといいですね。
今後も気になる点があればXで文句を言うだけじゃなくてフィードバックをちゃんとしていくのが良いと思います。

2024年5月2日木曜日

日EUデジタルパートナーシップの目玉の一つはデジタル・アイデンティティとトラスト

こんにちは、富士榮です。

4/30にベルギーで開催された2回目となる日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合が開かれて、共同声明が発行されましたね。

(デジタル庁のポストより)

https://www.digital.go.jp/news/955484d4-1ba4-4680-b0d8-a0e78946508c

共同声明の1番目(1番目っていうのが大事!)に「デジタル・アイデンティティに関する協力推進」が記載されています。(赤字、アンダーラインはブログ著者による)

OECDでのDFFT専門家コミュニティの設立を含むパートナーシップのための制度的アレンジメント(the Institutional Arrangement for Partnership:IAP)の始動を歓迎する。OECD閣僚理事会(2024年5月2日、3日)での連携を含め、IAPの更なる強化に関して引き続き協力する。本パートナーシップの機会を捉え、河野デジタル大臣とブルトン欧州委員との間でデジタル・アイデンティティの協力推進に関する協力覚書に署名した。日本に対するEUの十分性認定の範囲を学術研究分野及び公的部門に拡大する議論を歓迎する。

対象分野として学術研究分野についても触れられており、毎日新聞の記事を見ると「具体的には、転職や留学で用いる学歴などのデータを互いに流通させる仕組みを2024年中に先行開始できないか検討する。(以下の記事より引用)」とありますので、EUDIWのLSP(ラージスケールパイロット)の中のテーマの一つである学位・学修歴クレデンシャルを日EUで相互運用できるようになったりすることが期待されます。

https://mainichi.jp/articles/20240430/k00/00m/300/189000c

なお、この閣僚級会合に先立ち、4/17にステークホルダーを集めたワークショップがあり、私も急遽日本における学修歴クレデンシャルの状況についてお話しさせていただきました。この際もEU側からも相互運用に向けて取り組みを進めたい、というコメントもありましたので、今後に期待ですね。

こちらがワークショップのページです。ちょうどIIWで西海岸にいた日なので時差がきつかったですが・・・

https://eprd.pl/en/dpa/japan/public-private-stakeholder-workshop/agenda/



実は、このようなデジタルパートナーシップ協定はいろいろな国と締結しており、その中でもデジタル・アイデンティティはしばしばテーマの一つとして取り上げられています。ざっくりデジタル庁のホームページから探した範囲では以下の国々と取り組みについて触れられています。

広く相互運用ができるといいと思いますので、今後もウォッチしていこうと思います。






2024年4月1日月曜日

デジタル庁の認証アプリがやってこない?

こんにちは、富士榮です。


以前、ブログにも書きましたがデジタル庁の認証アプリの件、読売新聞にも掲載されていますね。

国の個人認証アプリ 迷走…デジタル庁 構想・開発

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240329-OYT1T50188/


以前のブログはこちら

デジタル認証アプリがやってくる(その後)

https://idmlab.eidentity.jp/2024/02/blog-post_24.html

デジタル認証アプリがやってくる

https://idmlab.eidentity.jp/2024/01/blog-post_28.html


読売新聞に戻りますが、この記事はDIW(Digital Identity Wallet)プロジェクトの会合でもご一緒させていただいている若江先生の記事です。

崎村さんもマイデータジャパンの帽子でコメントされていますね。

これでは国民がいつどんなオンラインサービスを使っているのか政府が網羅的に把握できるおそれがある。

こうした識別子は大量の情報の名寄せが可能でプライバシーの観点から十分な配慮が必要


まぁ、私も個人としてコメントはさせていただきましたが、諸々の懸念点について透明性が維持される仕組みができれば、個人的には便利になると思っているのでWelcomeですので、上記のようなコメントについての検討の結果がちゃんと公開されることに期待します。

記事には、

3月中に予定していた施工規則改正はいったん見合わせ、4月に予定されていたアプリのリリースも「数ヶ月遅れる可能性がある」

とありますので、引き続きウォッチが必要ですね! 

2024年2月24日土曜日

デジタル認証アプリがやってくる(その後)

こんにちは、富士榮です。

先月、デジタル認証アプリに関連する法令に関するパブコメ募集が出ている件について個人的に考える課題点について書きました。

デジタル認証アプリがやってくる

https://idmlab.eidentity.jp/2024/01/blog-post_28.html 


それなりのPVがあったこともあり、某雑誌社の方からインタビューがあったりもしました。

パブコメの募集が2月末までだったこともあり、コメントをしてみました。

(なお、重要なことですがこの分野は素人なので頓珍漢なコメントをしている可能性も高いです。後述しますが今回のパブコメの対象は認証アプリそのものというよりも法律だったこともあり、私の条文の解釈の仕方はおそらく間違っている可能性が高いです)

ということで個人的解釈に基づく今回のパブコメ募集の中身を深掘りしていきたいと思います。

パブコメの対象は何か? 

はい、ここがおそらく一番重要だと思います。
募集要項にバッチリ書かれています。よく読んでコメントしましょう。
対象は「法令施行規則」ですね。

読んでみます。縦書きPDF・・・


その中のコメントの対象は何か?

対象が法令施行規則だということが分かった上でコメントしてほしいポイントはどこなのか?という点を見ていきましょう。
「命令案」の中に「改正後」として記載されているところに改正したいポイントがわかる様に記載されています。

ここは優しく「概要」という資料に改正のポイントがまとめられていますのでこちらも併せて見ると理解が早まると思います。


要するに、「電子署名等確認業務受託者」に「内閣総理大臣」を加えたいということですね。
なんでこんなことをやっているのか?を紐解くためには「電子署名等確認業務受託者」とはなんなのか、どういう義務を負うのか、について改正対象となる「電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律」を見てみましょう。
こちらで参照できます。

これをみていると結局のところ「電子署名等確認業務受託者」、つまり現状でいう「プラットフォーム事業者」といわれるJ-LISのサーバに対してアクセスをしてマイナンバーカードの有効性確認等を実施することができる事業者に「個人番号カード用利用者証明用電子証明書」に関して「利用者に関する情報を適切に扱うこと」などを義務付ける法律であることがわかります。


では、なぜ内閣総理大臣を受託事業者に追加するのか?

今回やりたいことは認証アプリの「システム連携イメージ」に記載がある様に、デジタル庁の管理する「デジタル認証アプリサーバ」がJ-LISの管理するJPKIサーバに対してアクセスする、ということです。これは正に現在のプラットフォーム事業者が行なっているマイナンバーカードの有効性確認などと同じ構図となります。

これまでは前述の法律に則って総務省認定を受けた受託事業者のみがJPKIサーバへのアクセスを許可されていたわけですが、上記の図の構成、つまりデジタル庁がJPKIサーバへアクセスしようと思うと根拠法が存在しないわけです。

となると、行政機関の長である内閣総理大臣を受託事業者に加えておかないといけなくなる、とうロジックなんだと思います。


本当にそれでいいのか?どうコメントすべきか?

構図がわかったところでツッコミどころコメントすべき事項を探すわけですが、結局は従来の民間のプラットフォーム事業者と行政機関の差を紐解いていくのがアプローチが良いのではないかと思います。

利用者に関する情報を適正にあつかうこと、という点については民間だろうが行政機関だろうがそうでしょうね、という感じで違和感はないのですが、この利用者に関する情報は一体何を含むんだろうか?という点を見ていくとどうやら法律では「利用者証明利用者符号」を中心に考えているんじゃないかな?と思えてきます。

結局、マイナンバー(カードじゃなく)や証明書シリアルなど、背番号制度に関するアレルギーが意味不明に強い日本では符号や識別子に関しては非常に慎重に扱われる傾向にありますが、行政機関においては識別子についてはそもそも扱う前提があるんじゃなかったっけ?民間事業者が扱うことになるから認定制度があるんじゃなかったっけ?というところに行き着きます。

むしろ前回のポストでも記載した通り行政機関がやるから気持ち悪いポイントは公共・準公共・民間という異なるコンテキストを横断的に政府のIdentity Providerがまとめてフェデレーションをする、つまりデジタル庁の認証アプリサーバから見て利用者がどのRelying PartyとID連携しているのかがわかってしまう、という点にあるはずです。これはIdentity Providerを実装したことがある人ならわかると思いますが、利用者がどのRelying Partyに対して属性提供について同意しているかの状態を保持したり、PPIDを生成するための連携状態を保持したり、とログを含むとそれなりにID連携状態の情報を持つ必要が出てきてしまいます。

こうなってくるとこの法令施行規則に関する改正のポイントが受託事業者の対象に内閣総理大臣を加えることでプラットフォーム事業者と同じことをデジタル庁ができる様になりますよ、だけでは少々不足していると思われるので、法令改正対象には少なくとも「符号などに関する情報の適正な管理」だけでなく「ログを含むID連携状態の適正な管理」を求めていかないといけないのではないか?というのが現時点での私の結論です。

とりあえずそんな主旨でコメントはしてみたので、今後どうなっていくかは注視していきたいと思います。








2024年1月28日日曜日

デジタル認証アプリがやってくる

こんにちは、富士榮です。


噂のデジタル認証アプリですが、パブコメが出てますね。

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律施行規則の一部を改正する命令案に対する意見募集について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=290310311&Mode=0

2月末までの募集のようなのでぜひ皆さんみておくと良いと思います。

ざっくり見てみたいと思います。色々と課題もありそうです・・・

概要

OpenID Connect/OAuth2.0もちゃんと採用されていますね。


サービス提供領域

個人的に一番気になっていた民間PF事業者との棲み分けにについても記載されていますね。

準公共サービスの範疇をどこにおくのか、で既存事業者とのせめぎ合いがありそうな感じです。

システム構成

しかしながら、このシステムイメージ図を見ると色々と問題点が浮かび上がってきます。

パッと見た感じ普通のID連携モデルです。サービス事業者(先に述べた公共・準公共・民間)がデジタル庁の認証サーバ(OAuthの認可サーバ)に対してクライアント登録をするということになるはずです。このクライアント登録をする段階で公共・準公共・民間の区分で審査をした上で登録していく、という感じで運用していくことになるはずですね。
しかし、そうなると2点問題があるように感じます。

課題はなにか?

  1. 多段フェデレーションへの対応が困難
    • これはID連携モデルだけにとどまらずオンプレミスのActive Directoryフォレストの設計を行う上でも昔から考慮点となっていたところですが、デジタル庁の認可サーバに登録されるクライアントが更にID基盤として実際のサービスとID連携を行なっているケースがありえます。例えば、IDaaSなどのサービスを使っている事業者の場合、デジタル庁にクライアント登録されるのはIDaaSとなり、実際のサービスが登録されるわけではありません。このことにより準公共という触れ込みでデジタル庁に登録されたとしても、その先で民間のサービスとID連携をしてしまっていた、、というケースに対応できなくなります。この辺りはルールで縛りを入れる形になるんだと思いますが
  2. デジタル庁のIdPによる行動把握問題
    • フェデレーションモデルということは利用者(今回の場合はマイナンバーカードを持っている国民)がクライアントとなるサービスを使う都度、デジタル庁のIdPへリダイレクトされることになります。今回のケースではクライアントとなりえる公共・準公共・民間のサービスを認証対象となるユーザが使っていることをデジタル庁のIdPは知ることができる、という状態が発生します。まさにGoogle Knows You Better Than You Know Yourselfならぬ「デジタル庁はあなたよりあなた自身のことを知っている」なんてことになるのでは?という疑念を抱かせないように丁寧な説明が必須になると思います。


この辺りはパブコメだしますかね・・・
こういうユースケースこそVCを使ったIssuer(デジ庁IdP)→Wallet(個人のスマホ)→Verifier(民間を含むサービス)の3パーティモデルを使ってIssuerとVerifierを分離することが有効なのかもしれません。

いずれにしても4月に出てくるということなので楽しみにしておきましょう。