こんにちは、富士榮です。
先月、デジタル認証アプリに関連する法令に関するパブコメ募集が出ている件について個人的に考える課題点について書きました。
デジタル認証アプリがやってくる
それなりのPVがあったこともあり、某雑誌社の方からインタビューがあったりもしました。
パブコメの募集が2月末までだったこともあり、コメントをしてみました。
(なお、重要なことですがこの分野は素人なので頓珍漢なコメントをしている可能性も高いです。後述しますが今回のパブコメの対象は認証アプリそのものというよりも法律だったこともあり、私の条文の解釈の仕方はおそらく間違っている可能性が高いです)
ということで個人的解釈に基づく今回のパブコメ募集の中身を深掘りしていきたいと思います。
パブコメの対象は何か?
これをみていると結局のところ「電子署名等確認業務受託者」、つまり現状でいう「プラットフォーム事業者」といわれるJ-LISのサーバに対してアクセスをしてマイナンバーカードの有効性確認等を実施することができる事業者に「個人番号カード用利用者証明用電子証明書」に関して「利用者に関する情報を適切に扱うこと」などを義務付ける法律であることがわかります。
では、なぜ内閣総理大臣を受託事業者に追加するのか?
今回やりたいことは認証アプリの「システム連携イメージ」に記載がある様に、デジタル庁の管理する「デジタル認証アプリサーバ」がJ-LISの管理するJPKIサーバに対してアクセスする、ということです。これは正に現在のプラットフォーム事業者が行なっているマイナンバーカードの有効性確認などと同じ構図となります。
これまでは前述の法律に則って総務省認定を受けた受託事業者のみがJPKIサーバへのアクセスを許可されていたわけですが、上記の図の構成、つまりデジタル庁がJPKIサーバへアクセスしようと思うと根拠法が存在しないわけです。
となると、行政機関の長である内閣総理大臣を受託事業者に加えておかないといけなくなる、とうロジックなんだと思います。
本当にそれでいいのか?どうコメントすべきか?
構図がわかったところでツッコミどころコメントすべき事項を探すわけですが、結局は従来の民間のプラットフォーム事業者と行政機関の差を紐解いていくのがアプローチが良いのではないかと思います。
利用者に関する情報を適正にあつかうこと、という点については民間だろうが行政機関だろうがそうでしょうね、という感じで違和感はないのですが、この利用者に関する情報は一体何を含むんだろうか?という点を見ていくとどうやら法律では「利用者証明利用者符号」を中心に考えているんじゃないかな?と思えてきます。
結局、マイナンバー(カードじゃなく)や証明書シリアルなど、背番号制度に関するアレルギーが意味不明に強い日本では符号や識別子に関しては非常に慎重に扱われる傾向にありますが、行政機関においては識別子についてはそもそも扱う前提があるんじゃなかったっけ?民間事業者が扱うことになるから認定制度があるんじゃなかったっけ?というところに行き着きます。
むしろ前回のポストでも記載した通り行政機関がやるから気持ち悪いポイントは公共・準公共・民間という異なるコンテキストを横断的に政府のIdentity Providerがまとめてフェデレーションをする、つまりデジタル庁の認証アプリサーバから見て利用者がどのRelying PartyとID連携しているのかがわかってしまう、という点にあるはずです。これはIdentity Providerを実装したことがある人ならわかると思いますが、利用者がどのRelying Partyに対して属性提供について同意しているかの状態を保持したり、PPIDを生成するための連携状態を保持したり、とログを含むとそれなりにID連携状態の情報を持つ必要が出てきてしまいます。
こうなってくるとこの法令施行規則に関する改正のポイントが受託事業者の対象に内閣総理大臣を加えることでプラットフォーム事業者と同じことをデジタル庁ができる様になりますよ、だけでは少々不足していると思われるので、法令改正対象には少なくとも「符号などに関する情報の適正な管理」だけでなく「ログを含むID連携状態の適正な管理」を求めていかないといけないのではないか?というのが現時点での私の結論です。
とりあえずそんな主旨でコメントはしてみたので、今後どうなっていくかは注視していきたいと思います。
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