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2024年12月5日木曜日

EUDIWの認定ウォレットのリスト公開に関する施行規則ドラフトが出ています

こんにちは、富士榮です。

欧州連合のDIW(Digital Identity Wallet)に関する施行規則ドラフトが出ていますね。認定リストの公開に関する施工規則のドラフトです。

European Digital Identity Wallets – list of certified wallets




こちらのWallet認定に関連した規則ですね。

サマリです。
This implementing act sets out rules for the submission to the Commission of information on certified wallet solutions and their associated electronic identification schemes by EU countries. It also sets out the requirements for the secure electronic system to be set up by the Commission for receiving the submissions.

この実施法は、EU諸国が欧州委員会に対して、認証された財布ソリューションとそれに関連する電子身分証明スキームに関する情報を提出するための規則を定めている。また、提出書類を受理するために欧州委員会が設置する安全な電子システムの要件も定めている。

11/29〜1/2までの期間でFeedback募集ということでドラフトがアップされています。

今後日本でも認定スキームにするのかどうかの行方によってはこのような仕組みが必要になりそうですね。


 

 

 

2024年11月29日金曜日

欧州委員会がクロスボーダーのEUデジタルIDウォレットの技術基準を採択

こんにちは、富士榮です。

デジタルIDウォレット(DIW)はやはり欧州が一歩先をいっていますね。
こんなニュースが発表されています。


Commission adopts technical standards for cross-border European Digital Identity Wallets
(欧州委員会がクロスボーダーのEUデジタルIDウォレットの技術基準を採択)

Today, the Commission adopted rules for the core functionalities and certification of the European Digital Identity (eID) Wallets under the European Digital Identity Framework. This is a major step towards Member States building their own wallets and releasing them by the end of 2026.
Four implementing regulations set out uniform standards, specifications, and procedures for the technical functionalities of the wallets, such as data formats required for the cross-border use of digital documents and measures to ensure the reliability and security of the wallets. Setting uniform standards and specifications will allow each Member State to develop wallets in a way that is interoperable and accepted across the EU, while protecting personal data and privacy. Data is stored locally on the wallet, with users have control over what information they share, with zero tracking or profiling in the design of wallets. A privacy dashboard will also be built in, giving complete transparency on how and with whom information from the wallet is shared.
The fifth implementing regulation establishes specifications and procedures to build a robust framework for the certification of the eID wallets, ensuring they are secure and protect users' privacy and personal data.
European Digital Identity Wallets will offer private users and businesses a universal, trustworthy and secure way to identify themselves when accessing public and private services across borders. Examples of how digital wallets can be used include opening a bank account, proving one's age, renewing medical prescriptions, renting a car, or displaying their flight tickets.
The implementing regulations will be published in the Official Journal in due course and enter into force 20 days thereafter.

本日、欧州委員会は、EUデジタルアイデンティティフレームワークに基づくEUデジタルアイデンティティ(eID)ウォレットの中核機能および認証に関する規則を採択しました。これは、加盟国が独自のウォレットを構築し、2026年末までにリリースするという目標に向けた大きな一歩となります。

4つの実施規則では、デジタル文書の国境を越えた利用に必要なデータ形式や、ウォレットの信頼性と安全性を確保するための措置など、ウォレットの技術的機能に関する統一基準、仕様、手順が定められています。統一基準と仕様を定めることで、各加盟国は個人データとプライバシーを保護しながら、EU全域で相互運用可能で受け入れられるウォレットを開発できるようになります。データはウォレット上にローカルに保存され、ユーザーは共有する情報を管理でき、ウォレットの設計上、追跡やプロファイリングは一切行われません。また、プライバシーダッシュボードも組み込まれ、ウォレットからの情報がどのように、また誰と共有されるかについて、完全な透明性が確保されます。

第5の実施規則では、eIDウォレットの認証仕様と手順を定め、その安全性を確保し、ユーザーのプライバシーと個人情報を保護するための強固な枠組みを構築します。

EUデジタルIDウォレットは、国境を越えて公共サービスや民間サービスにアクセスする際に、個人ユーザーや企業が自己を証明するための、普遍的で信頼性が高く安全な手段を提供します。デジタルウォレットの利用例としては、銀行口座の開設、年齢の証明、処方箋の更新、レンタカー、航空券の表示などがあります。

実施規則は、今後官報に掲載され、20日後に発効します。 


以前からではありますが国境を越え、というところがより強調されてきている感じがしますね。欧州の外への展開も視野に入っている、ということですね。

日本もどうするのか楽しみです。



2024年5月24日金曜日

EU Digital IdentityのARF1.4が発行されています

こんにちは、富士榮です。

5/20にEUのデジタルID規則が施行されたのに引き続き、ARF(Architecture Reference Framework)の1.4版がリリースされましたね。



デジタルID規則の施行に関する発表

https://ec.europa.eu/digital-building-blocks/sites/display/EUDIGITALIDENTITYWALLET/The+Digital+Identity+Regulation+Enters+into+Force


ARF1.4に関する発表

https://eu-digital-identity-wallet.github.io/eudi-doc-architecture-and-reference-framework/latest/


デジタルID規則の施行の話はおいおいみていくとして、実装に関心がある身としてはARFについてが気になります。

こういう場合はchange logから見るのが正攻法ということで・・・

https://github.com/eu-digital-identity-wallet/eudi-doc-architecture-and-reference-framework/releases/tag/v1.4.0


と思ったら、commitメッセージがバックリすぎて全然わかりません・・・

仕方ないので個別にみていきます。。リファレンスの更新やタイプミス対応なども多いのですが、目立ったところはこのくらいかと。クレデンシャルフォーマットの話とかもあるはずなのですが、change log上は見つからなかったので今後細かく読んでいこうと思います。

ユーザーストーリーテンプレートの更新

https://github.com/eu-digital-identity-wallet/eudi-doc-architecture-and-reference-framework/commit/89525e34a613c15035824f48d0bce90b53b7e6e9

Update user-story-template.md

This commit introduces essential enhancements to our user story template by adding sections for Priority, Estimates, Technical Notes and Constraints, and Dependencies. 

These additions are crucial for several reasons:

- **Priority**: Establishing a priority level (High, Medium, Low) is vital for aligning our development efforts with the project's strategic objectives. It ensures that the team focuses on what's most important, improving resource allocation and project planning.

- **Estimates**: Providing effort estimates, whether in time units or a point system, enables better forecasting and project management. It helps set realistic timelines and expectations for stakeholders and team members alike.

- **Technical Notes and Constraints**: Outlining technical considerations and constraints upfront aids in identifying potential challenges early in the development process. This proactive approach facilitates smoother implementation and can help mitigate risks associated with technical debt and integration issues.

- **Dependencies**: Documenting dependencies on other user stories, tasks, or functionalities is crucial for understanding the broader project ecosystem. It helps in scheduling and prioritizing work, preventing bottlenecks, and ensuring a coherent development flow.

機械翻訳するとこんな感じです。

user-story-template.md の更新

このコミットでは、優先度、見積もり、テクニカルノートと制約、依存関係のセクションを追加することで、ユーザーストーリーテンプレートに重要な機能強化を導入しています。

これらの追加にはいくつかの重要な理由があります:

- 優先度**: 優先度**:優先度(高、中、低)を設定することは、開発努力をプロジェクトの戦略目標に合わせるために不可欠です。チームが最も重要なことに集中し、リソース配分とプロジェクト計画を改善することができます。

- 見積もり**: 時間単位であれポイント制であれ、工数の見積もりを提供することで、より良い予測とプロジェクト管理が可能になります。利害関係者やチームメンバーのために、現実的なスケジュールと期待値を設定することができます。

- 技術的な注意と制約**: 技術的な考慮事項と制約事項を前もって説明することは、開発プロセスの早い段階で潜在的な課題を特定するのに役立ちます。この積極的なアプローチは、円滑な実装を促進し、技術的負債や統合の問題に関連するリスクを軽減するのに役立ちます。

- 依存関係**: 他のユーザーストーリー、タスク、または機能との依存関係を文書化することは、より広いプロジェクトのエコシステムを理解するために非常に重要です。これは、作業のスケジューリングと優先順位付け、ボトルネックの防止、首尾一貫した開発フローの確保に役立ちます。


CIR 2015/1501への参照の削除

私もよくわかりませんが、相互運用性に関する枠組みに関する施行規則のようです。

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32015R1501

元々存在した以下の文章を削除していますね。

The PID set SHALL at least contain the minimum set of attributes  aligned with eIDAS CIR 2015/1501 as mandatory. 

PID セットは、少なくとも eIDAS CIR 2015/1501 に沿った最小限の属性を必須として含まなけれ ばならない(SHALL)。


ちゃんと読まないといけませんが、いかんせんこの手の文書は過去を知らないと正しく理解できない傾向にあるのが辛いところです。

徐々に読み進めて理解を進めていきたいと思いますが、来月頭はベルリンでEuropean Identity & Cloud Conferenceに参加するのでその中でも色々と学べることもありそうです。楽しみです。 






2024年5月2日木曜日

日EUデジタルパートナーシップの目玉の一つはデジタル・アイデンティティとトラスト

こんにちは、富士榮です。

4/30にベルギーで開催された2回目となる日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合が開かれて、共同声明が発行されましたね。

(デジタル庁のポストより)

https://www.digital.go.jp/news/955484d4-1ba4-4680-b0d8-a0e78946508c

共同声明の1番目(1番目っていうのが大事!)に「デジタル・アイデンティティに関する協力推進」が記載されています。(赤字、アンダーラインはブログ著者による)

OECDでのDFFT専門家コミュニティの設立を含むパートナーシップのための制度的アレンジメント(the Institutional Arrangement for Partnership:IAP)の始動を歓迎する。OECD閣僚理事会(2024年5月2日、3日)での連携を含め、IAPの更なる強化に関して引き続き協力する。本パートナーシップの機会を捉え、河野デジタル大臣とブルトン欧州委員との間でデジタル・アイデンティティの協力推進に関する協力覚書に署名した。日本に対するEUの十分性認定の範囲を学術研究分野及び公的部門に拡大する議論を歓迎する。

対象分野として学術研究分野についても触れられており、毎日新聞の記事を見ると「具体的には、転職や留学で用いる学歴などのデータを互いに流通させる仕組みを2024年中に先行開始できないか検討する。(以下の記事より引用)」とありますので、EUDIWのLSP(ラージスケールパイロット)の中のテーマの一つである学位・学修歴クレデンシャルを日EUで相互運用できるようになったりすることが期待されます。

https://mainichi.jp/articles/20240430/k00/00m/300/189000c

なお、この閣僚級会合に先立ち、4/17にステークホルダーを集めたワークショップがあり、私も急遽日本における学修歴クレデンシャルの状況についてお話しさせていただきました。この際もEU側からも相互運用に向けて取り組みを進めたい、というコメントもありましたので、今後に期待ですね。

こちらがワークショップのページです。ちょうどIIWで西海岸にいた日なので時差がきつかったですが・・・

https://eprd.pl/en/dpa/japan/public-private-stakeholder-workshop/agenda/



実は、このようなデジタルパートナーシップ協定はいろいろな国と締結しており、その中でもデジタル・アイデンティティはしばしばテーマの一つとして取り上げられています。ざっくりデジタル庁のホームページから探した範囲では以下の国々と取り組みについて触れられています。

広く相互運用ができるといいと思いますので、今後もウォッチしていこうと思います。






2024年4月14日日曜日

ドイツ/SPRINDのEUデジタルIDウォレットのプロトタイプ実装支援プログラム

こんにちは、富士榮です。

日本でもデジタルIDウォレットの調査研究が進んだりしていますが、そのベースとも言えるEUデジタルIDウォレット(EUDIW)ではEUとしてARF(アーキテクチャ・リファレンス・フレームワーク)や、先日本ブログでも紹介したリファレンス実装のコードがgithubで公開されたりしており、EU加盟国は各国で実際に利用するためのウォレットの開発をそれぞれ進めていこうとしています。

今回紹介するのはドイツにおける取り組みです。ドイツのSPRIND(FEDERAL AGENCY FOR DISRUPTIVE INNOVATION。イノベーション研究所的な位置付け、でいいのかな?)が5月5日を締め切りとして参加チームを募集している「FUNKE EUDI WALLET PROTOTYPES」というプログラムがあります。


スローガンとして
「Develop the most trustworthy, user-friendly, and universally applicable European Digital Identity Wallet for users in Germany!(ドイツのユーザーのために、最も信頼でき、ユーザーフレンドリーで、普遍的に適用可能なEUデジタル ID ウォレットを開発する!)」
なんてことが書かれていて、盛り上げようとしている感じが好感が持てます。

プログラムの期間は13カ月で、3つのステージに分かれているそうです。第1ステージでは1チームあたり最大30万ユーロを、第2ステージでは1チームあたり最大30万ユーロ、第3ステージでは1チームあたり最大35万ユーロの資金援助を行う予定のようです。

応募要件を見ると特にEUやドイツ在住の企業や組織である必要はないようなのですが、まぁ、あんまり国外のベンダがドイツ国民のためのウォレットを開発するっていう姿も想像しにくいので実際はドイツのチームがやるんでしょうねぇ。


政府と民間企業がウォレット提供者としてどのような形で関わるべきか?というOIXのレポートを先日紹介しましたが、このように民間をうまく巻き込んだエコシステムを作っていく取り組みは日本でも参考にしていけるといいですね。