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2018年1月10日水曜日

[Azure AD/Intune]PCのログイン画面からパスワードをリセットする

こんにちは、富士榮です。

Azure ADドメインに参加したWindows 10 Fall Creators Update(Build 1709)のPCではログイン画面からパスワードをリセットすることが出来るようになっています。

公式Blogでのアナウンス
 Resetting passwords on Azure AD-joined devices is much easier with the latest Windows update
 https://cloudblogs.microsoft.com/enterprisemobility/2017/11/20/resetting-passwords-on-azure-ad-joined-devices-is-much-easier-with-the-latest-windows-update/

ちょっと時間がたってしまいましたが、動かしてみました。

◆必要な物、準備事項

  • デバイス
    • Azure AD参加したWindows 10 Fall Creator Updateが動作しているPC
  • ライセンス
    • 該当ユーザにAzure AD Premium P1以上のライセンスが割り当たっていること(オンプレミスADへのパスワード書き戻しを行う場合)
    • 該当ユーザにIntuneのライセンスが割り当たっていること(GPOやPowerShellで対象PCのレジストリを直接操作してもOKですが、Intuneがあると便利です。本ポストではIntuneを使ってポリシーを配布する方法を紹介します)
  • 設定
    • Intuneでパスワードリセット用のプロファイルを構成していること
    • Azure AD上でパスワードリセットを有効化していること

早速やってみます。

◆Intuneでデバイス構成プロファイルを作成する

Azure PortalからIntune、Device ConfigurationからProfilesを開き、Create profileをより新規プロファイルを作成します。

プラットフォームにWindows 10 or later、プロファイルタイプにCustomを選択し、OMA-URIを追加していきます。

追加するOMA-URIの情報は以下の通りです。
  • OMA-URI : ./Vendor/MSFT/Policy/Config/Authentication/AllowAadPasswordReset
  • Data type : Integer
  • Value : 1

◆Azure ADでパスワードリセットを有効化する

次はAzure ADを開き、Password resetを構成します。具体的にはリセットさせたいユーザを含むセキュリティ・グループに対して割り当てを行います。
(デフォルトでSSPRSecurityGroupUsersというグループが出来ていると思うので、対象ユーザをこのグループに入れます)


◆リセットする

構成が上手くいくとWindows 10 PCのログイン画面にパスワードリセットのリンクが表示されます。(もちろんAzure AD参加、Intuneへのデバイス登録がされていることが前提です)

このリンクから以下の様にパスワードリセットを進めることが出来ます。

SMSへリセット用のワンタイムコードの送信

SMSで送られてきた確認コードを入力

場合によって2つ目の確認手段を求められるので、メールにも確認コードを送信

同じく確認コードを入力して、新しいパスワードを登録

リセットが完了するので、新しいパスワードでPCへログイン


オンプレだけで構成されている環境の場合はMIM(Microsoft Identity Manager)のパスワードリセットエージェントを配布~インストールする必要があったので、クラウドベースもしくはハイブリッド環境だとかなり楽に管理が出来ますね。

2014年3月30日日曜日

[AAD+FIM2010]Azure Active Directory Premiumの正式リリースとプロビジョニング界のエコシステムの崩壊?

Windows Azure Active Directory(WAAD)あらためMicrosoft Azure Active Directory(MAAD?最近はAADで通じるっぽい)のPremiumが4月に正式リリース(GA)を迎える、ということがActive Directory Teamのblogでアナウンスされました。

Cloud based Identity and Access Management for every user on every device
 http://blogs.technet.com/b/ad/archive/2014/03/25/identity-and-access-management-for-every-user-in-every-organization-using-any-service-on-any-device.aspx


来週からのBuild(4/2-4/4)で発表されるんですかね。

blogの内容を見ると、AAD PremiumにはForefront Identity Manager(FIM)のサーバライセンスとCALが含まれるそうなので、マルチフォレストシナリオでのディレクトリ同期やオンプレミスのActive Directory以外をデータソースとしたID管理などの複雑な構成がとれるようになります。



これはエンタープライズID管理(特にプロビジョニング)市場にとって非常に大きなインパクトを持つ可能性があると考えています。エンタープライズシナリオでOffice365とか使おうと思ったら今後はAAD Premium+FIMっていうのがコスト的にも非常に優位なソリューションになる可能性がありますので、これまでAAD/Office365のディレクトリ同期ツールで足りない部分はサードパーティを、というエコシステムが成り立ってきましたが、今後すこしバランスが崩れる可能性があるのでは?と思います。


最後に、改めてですが今回正式リリースとなるAAD Premiumの機能は以下の通りです。
他にもPreview中の機能が複数あり、今後も強化されていくようです。

全体的な特徴

  • 99.9%のSLA
  • ディレクトリ内のオブジェクト数に制限なし

機能
  • アプリケーションアクセス管理
    • Google AppsやsalesforceなどへのSSO/プロビジョニングを提供、アプリケーションポータル(アクセスパネル)からアプリケーションの利用
  • セルフサービス・パスワードリセット
    • ユーザ自身によるパスワードリセット
  • セルフサービス・グループ管理
    • ユーザ自身によるグループの作成やグループへの参加登録
  • 多要素認証
    • 追加のソフトウェアやハードウェアなしでの多要素認証の提供
  • ブランドのカスタマイズ
    • ログイン画面やアクセスパネルなどの画面カスタマイズ
  • レポーティング、警告と分析
    • アクセス元ネットワークの解析や利用状況のレポート


2013年6月14日金曜日

[FIM2010] FIM ユーザ・グループが始動

流石に日本ではありませんが、オーストラリアの FIM MVP 仲間の Carol Wapshere さんと Bob Bradley さんがやっている「THE FIM TEAM 」という FIM 専門のコンサルティング団体が主催している THE FIM TEAM USER GROUP が立ち上がりました。

 THE FIM TEAM USER GROUP
 - http://thefimteam.com/fim-team-user-group/

メールを送れば誰でも参加できるので、日本の FIM 愛好家のみなさんは是非参加してみてください。

活動としては定期的なオンラインミーティングを予定しているということで、先日第1回が開催されたので早速参加してみました。
残念ながら朝早かったのと、Lync Attendee の調子が非常に悪かったので殆ど何もできませんでしたが、内容的には世界中の FIM User(というかインテグレーション側が多かった印象)がどうやって FIM を使っているのか?という情報を交換する、という感じだったので非常に参考になりました。

当日のレコーディングが YouTube にアップロードされていますので是非ご覧ください。


尚、イベントの中で何個かアンケートがあったので、回答を含め紹介します。
(Carol さんが blog で集計結果を公開しています)

◆本番環境で使っている FIM のバージョンは?
 ・MIIS 2003 : 4%
 ・ILM 2007 : 4%
 ・FIM 2010 : 12%
 ・FIM 2010 R2 : 15%
 ・FIM 2010 R2 SP1 : 65%

 意外とちゃんとバージョンアップしてるんですねぇ。

◆何個くらいのシステムとつないでいる?
 ・1-5 : 10%
 ・5-10 : 35%
 ・10-20 : 50%
 ・20以上 : 5%

 まぁそんなもんかと。

◆使っている同期ルールの種類は?
 ・クラシック(Rule Extension)のみ : 45%
 ・設定(Declarative)のみ : 15%
 ・両方 : 40%

 やっぱりコードレスプロビジョニングだけじゃ何ともならんということです。

◆どのくらいの数のアイデンティティを管理しているか?
 ・1,000以下 : 0%
 ・1,000-5,000 : 3%
 ・5,000-10,000 : 17%
 ・10,000-100,000 : 40%
 ・100,000以上 : 40%

 以外と大規模で使われてますね。数百万という話もチャットの中では出てきました。すごいですねぇ。

◆FIM にかかわる前の技術的なバックグラウンドは何?
 ・運用者 : 50%
 ・開発者 : 30%
 ・その他 : 20%

 やっぱり運用で使い始めて拡大していくパターンが多いんですかね。SIerではなく、ユーザ企業の情報システム部門が自力で実装するケースが多い海外ならではなのかと。

◆FIM にかかわる時間の割合は?
 ・20%以下 : 5%
 ・20-50% : 15%
 ・50-80% : 45%
 ・80%以上 : 35%

 まぁ FIM のグループですから・・・

◆どの FIM のコンポーネントを使っている?
 ・Sync Service
  ・本番環境 : 100%
 ・FIM Servie and Portal
  ・本番環境 : 80%
  ・テスト環境 : 10%
  ・使っていない : 10%
 ・Self Service Password Reset
  ・本番環境 : 55%
  ・テスト環境 : 15%
  ・使っていない : 30%
 ・Certificate Manager
  ・本番環境 : 12%
  ・テスト環境 : 3%
  ・使っていない : 85%
 ・BHOLD
  ・本番環境 : 15%
  ・テスト環境 : 35%
  ・使っていない : 50%
 ・R2 Reporting
  ・本番環境 : 17.5%
  ・テスト環境 : 17.5%
  ・使っていない : 65%

 FIM CM 人気ないですねぇ。。。BHOLD 以下とは。。


MVP の会合以外で中々 FIM の話をどっぷりと聞く機会もないですし、実際に使っている人の話は面白そうなので引き続き参加して情報を共有させてもらおうと思います。



2012年6月14日木曜日

[FIM 2010] R2 関連のドキュメント群

Forefront Identity Manager 2010 R2 のリリースに合わせてドキュメント類がリリースされています。

残念ながら全部英語ですが、内容的には結構充実しています。


Forefront Identity Manager 2010 R2 Deployment Guide
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29957

Forefront Identity Manager 2010 R2 Deployment Guide - Reporting
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29960

Forefront Identity Manager 2010 R2 Deployment Guide - Self-Service Password Reset
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29959

FIM 2010 R2 Export Performance Guide
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29958

Test Lab Guide: Installing Forefront Identity Manager 2010 R2
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29947

Test Lab Guide: Demonstrating FIM 2010 R2 Password Registration and Reset Portal Customization
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29951

Test Lab Guide: Upgrading to Forefront Identity Manager 2010 R2
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29952

Test Lab Guide: Forefront Identity Manager 2010 R2 Common User and Group Configuration
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29948

Test Lab Guide: Demonstrating the FIM 2010 R2 Self-Service Password Reset with the OTP Email Gate
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29961

Test Lab Guide: Demonstrating the FIM 2010 R2 SSPR SMSProvider with the OTP SMS Gate
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29954

Test Lab Guide: Demonstrating Forefront Identity Manager 2010 R2 Reporting
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29950

Test Lab Guide: Demonstrating Forefront Identity Manager 2010 R2 Reporting Extensibility 2
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29946

Test Lab Guide: Demonstrating Forefront Identity Manager 2010 R2 Reporting Extensibility Support Files
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29956

Test Lab Guide: Demonstrating FIM 2010 R2 Outlook Add-in
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29955

Forefront Identity Manager Connector for WebServices
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29944

FIM2010 Connector for WebServices Technet Documentation
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=29943


まだ BHOLD 絡みの情報はあまり出てきていませんが、上記だけでもかなりのボリュームなので新機能を色々と堪能できそうです。

2012年3月17日土曜日

[FIM2010] R2 で強化されたパスワード管理機能 - その2


前回から時間があいてしまいました。前回は Web ベースでの QA ゲート(秘密の質問と答え)によるパスワードリセット機能を紹介しましたが、 FIM2010 R2 からは他にも、
・ワンタイム パスワードの電子メール ゲート
・ワンタイム パスワードの SMS ゲート
が新たに追加されています。

簡単に言うとあらかじめ登録した電子メールや SMS(携帯電話のテキストメッセージ)へワンタイムパスワードを通知し、そのワンタイムパスワードを利用してパスワードをリセットする、という機能です。

しかし、通常パスワードを忘れている環境では電子メールを見ることが出来ないことが多いと思いますので、今回は SMS への通知の機能の使い方を紹介します。
※参考URL)http://technet.microsoft.com/en-us/library/hh824692(v=ws.10).aspx

通常、SMS は携帯電話キャリアのネットワークに依存する世界なので電子メールと同じようにインターネット経由でメッセージを送信することが出来ません。
やり方としては、サーバにモデムを接続して公衆回線経由でメッセージを送信する、という方法と SMS プロバイダと呼ばれるインターネット経由での SMS 送信サービスを提供している業者のサービスを使う方法が考えられます。
今回は後者の SMS プロバイダのサービスを利用することにしました。

尚、FIM2010 R2 から SMS へメッセージを送信するには SMS プロバイダが公開しているメッセージ送信 API を利用することになるので SMS プロバイダを選択するときは API を提供しているかどうかを調べる必要があります。
また、先にも書きましたが携帯キャリアのネットワークに依存する話なので、 SMS プロバイダが利用したい携帯キャリアに対応しているかどうかについても調べる必要があります。

今回は「イージー SMS」という SMS プロバイダを試しに使ってみました。
ここは API を公開していますし、国内の携帯キャリアでは Docomo と Softbank に対応しています。
(1通のメッセージを送るのに50円ほどかかります)

さて、早速手順を紹介します。
(イージー SMS への登録手順は省略します。詳細は Web サイトを参照してください)


■準備作業
手順1.SmsServiceProvider.dllを作成する

 FIM2010 R2 から SMS メッセージを送信するには SMS プロバイダが提供している API を呼び出すためのクラスライブラリを作成する必要があります。

 FIM2010 R2 では SmsServiceProvider.dll という名前で DLL を作成し、そのライブラリが SendSms というメソッドを公開していれば良いので、まずはクラスライブラリを作成します。(今回はVisual Studio 2010 を使って作成しました)

 Visual Studio 2010 を開いてプロジェクトを作成します。
 プロジェクトは以下の様に作成します。
 ・.NET Framework 3.5(FIM2010 R2 が .NET Framework 3.5 で開発されているので)
 ・クラスライブラリ
 ・名称:SmsServiceProvider
 ・参照設定:FIMインストールメディア内に存在するMicrosoft.IdentityManagement.SmsServiceProviderContract.dll
  ※Service and Portal\Program Files\Microsoft Forefront Identity Manager\2010\Service\GAC以下に存在

 [プロジェクトの作成]



























 [参照設定]
































 イージー SMS を使う場合のコードは以下の様な形になります。
using System;
using System.Collections.Generic;
using Microsoft.IdentityManagement.SmsServiceProvider;
using System.Net;
using System.IO;

namespace SmsServiceProvider
{
    public class SmsServiceProvider : ISmsServiceProvider
    {

        public void SendSms(string mobileNumber,
                            string message,
                            Guid requestId,
                            Dictionary<string, object> deliveryAttributes)
        {
            StreamWriter writer = new StreamWriter("c:\\tmp\\SMSLog.txt");
            writer.WriteLine("開始");

            System.Collections.Specialized.NameValueCollection ps = new System.Collections.Specialized.NameValueCollection();
            ps.Add("recipient", mobileNumber);
            ps.Add("sender", "+81901234567"); // 送信元
            ps.Add("message", message);
            ps.Add("password", "xxxxx"); // イージー SMS の契約パスワード
            WebClient wc = new WebClient();

            try
            {
        // API KEY はイージー SMS 契約時に入手できる
                byte[] resData = wc.UploadValues(@"https://api.ezsms.biz/{API KEY}/messages/send/", ps);
                wc.Dispose();
                string[] a = System.Text.Encoding.UTF8.GetString(resData).Split('\n');
                Boolean flg = false;
                foreach (string str in a)
                {
                    writer.WriteLine(str);
                    // 結果取得
                    if (str.Contains("OK") == true)
                    {
                        flg = true;
                        break;
                    }
                }
                if (flg == false)
                {
                    // エラー
                    throw new Exception("Could not send SMS message.");
                }
            }
            catch (System.Net.WebException ex)
            {
                //HttpWebResponseを取得
                System.Net.HttpWebResponse errres =
                    (System.Net.HttpWebResponse)ex.Response;
                writer.WriteLine("SMSプロバイダへ接続できない");
                throw new Exception("Could not connect to the SMS Provider.");
            }
            finally
            {
                wc.Dispose();
                writer.Close();
            }
        }
    }
}


後はビルドして完成した DLL ファイルを FIM2010 R2 サーバの Service 以下に配置すれば OK です。
(デフォルトインストールで C:\Program Files\Microsoft Forefront Identity Manager\2010\Service 以下)


手順2.SMS Gateの有効化

 次は SMS ゲートを使う様に FIM2010 R2 を設定します。

 設定を行うのは管理ポリシールール(MPR)の Password Reset AuthN Workflow です。
 管理ポリシールールのワークフローから当該のワークフローを探して編集します。




























 アクティビティとして「ワンタイム パスワードの SMS ゲート」を追加します。SMS ゲートだけを使うのであれば他のゲートは消してしまっても構いません。


































 追加したアクティビティの設定を行います。今回はテストなのでそのまま保存をしました。


































これでサーバ側の設定作業は完了です。次はユーザ自身による通知先の設定です。


手順3.通知先携帯電話番号の登録(ユーザ自身による作業)

 ユーザ自身によりパスワード登録画面を開き、通知先の携帯電話番号を登録します。(イージー SMS の場合、国番号から電話番号を登録する必要があるので +81 から登録します)





















■リセットの実行
では、実際にリセットをしてみます。

パスワードリセット画面へアクセスし、ユーザ名を「ドメイン名\ユーザ名」という形で入力します。































次へ、をクリックすると携帯電話へメッセージが送信されます。












































メッセージ内のワンタイムパスワードを画面に入力します。































正しいコードを入力するとパスワードのリセット出来ます。

2011年12月19日月曜日

[FIM2010] R2 で強化されたパスワード管理機能 - その1


# 久しぶりに本業?の FIM の話題です。

ようやく RC 版がリリースされた FIM2010R2 ですが、今回は新しく追加されたパスワード管理機能について試してみます。

無印のころは Windows ログオン画面でのパスワードリマインダ機能だけでしたが、R2 からは Web ベースでのパスワード登録およびパスワードリセット機能が実装されています。

・無印のころのパスワードリセット画面


































この機能は Windows クライアントのみ、且つ全員がドメインに参加しているという状況下においては非常に有用な機能でしたが、非ドメインユーザなどには使えない、という欠点がありました。
(ドメインユーザであれば PC にログオンできない環境下でも使える、というのは運用上とても良い機能でした)


その点、R2 からは Web ベースでのパスワードリマインダが実装されているので、以下の様な流れで秘密の質問の登録およびリセットを行うことが出来ます。(設定方法はそれなりに手間がかかるので、別途まとめます)
ちなみに今回は AD と FIM のユーザを同期した状態、且つ AD MA のパスワード変更を有効にした状態がベースです。ですので、FIM でパスワードをリセットすると Active Directory のパスワードがリセットされます。

・パスワード(秘密の質問)の登録画面



























































































# ちなみに相変わらず秘密の質問の回答に日本語は使えません。。


続いてパスワードリセット画面です。こちらも Web 化されています。





これで、無事にパスワードがリセットされました。
一旦ログオフして、再度ログオンするときは新しいパスワードになっているはずです。


2011年11月26日土曜日

FIM2010R2 RCがリリース


先週のニュースですが、7月末のベータ版から4か月弱、ようやくRC版(Release Candidate)がリリースされました。

特にベータ版以降の新規の改善点はなさそうですが、先日より物議を呼んでいる(KB2520954)についても反映されてくるものと思われます。
※このKBについては別途エントリを書こうと思います。かなり影響が大きそうですので、ちょっと検証中。。。

<新機能・改善点>
・レポーティング
・Webベースでのセルフ・サービス・パスワード・リセット(SSPR)
・FIMデータベースのパフォーマンス改善
・FIM Add-In の Outlook 2010 サポート
・Sharepoint 2010 のサポート
・トラブルシューティングの改善

また、Microsoft Server and Cloud Platform Blog で Mark Wahl さんが書いている内容によると、
・SSPRの新しい認証ゲート
・追加レポート
・ECMA2
が拡張のポイントだそうです。

ダウンロードは以下より(登録が必要です)
https://connect.microsoft.com/site433/Downloads


他には同時に Lotus Domino 8 connector もリリースされています。これはまだFIM2010R2のRC版用ですが、このリリースより Domino 8.x の管理が出来る様になっています。
尚、10月末にリリースされた新しい拡張管理エージェント開発フレームワーク(ECMA2)をベースに開発されています。

2010年2月8日月曜日

FIMパスワードリセットのアーキテクチャの紹介

おさらいになりますがFIMの全体アーキテクチャは下図のようになっています。
















FIMがMIIS/ILMと大きく違う点は、IdMプラットフォームとしてWebサービス基盤であるFIM Serviceが新たに追加されたことです。
このことにより、WS-*の標準的なプロトコルでのやり取りが可能になり、FIM PortalはもちろんOutLookをはじめ、今回のテーマであるパスワードリセットなどクライアントソリューションに幅が広がりました。

さて、本題ですがFIMにはWindowsログオンに統合されたパスワードリセット機能があります。他のIdM製品やアクセス管理製品にもパスワードリセット/リマインド機能をもつものも多数存在しますが、現実的には特に企業における導入が中々進んでいない状態です。
これは、企業でIdMを導入する際に当然情報システムへの入り口となるWindowsログオン(たいていはActive Directory)のアカウントのライフサイクルも管理することになるのですが、いざIDやパスワードを忘れた、となってもそもそもPCにログオンできなければブラウザが開けないのでパスワードリマインダ画面へ到達できなかったり、メールも見ることができないので新しいパスワードの通知も出来ない、という状態に陥るためです。
これを回避するために、パスワードリセット画面しか開けないようにグループポリシーで厳密に管理されたヘルプデスクユーザをドメイン上に用意しておいて、無理やりセルフリセットを行う、などという工夫が必要になってきてしまいます。

その点、FIMではクライアントモジュールのインストールは必要ですが、パスワードリセット機能がWindowsログオン画面にプラグインされているので、パスワードを忘れたときWindowsにログオンできなくてもあらかじめ設定した秘密の質問に答えられればパスワードのリセットが可能です。

実装の方法の解説などはそのうち紹介しようかと思いますが、今回はどうやってこのモジュールが動いているのか?について仕組みを解説したいと思います。

下の図がパスワードリセット時のメッセージの流れの全体像です。
















順番に解説していきます。

まず、関連するFIMのモジュールと役割は下記の通りです。

区分名称役割/概要
FIM ClientGate FrameworkLogonUIへのプラグイン(XP以前でいうところのカスタムGINA)。
Password Proxyを経由してFIM Serviceと通信する。
アンマネージドコードで書かれたモジュール。
Password ProxyFIM Serviceと実際のやり取りを行うWebサービスクライアント。
マネージドコードで書かれたモジュール。
FIM Service[MPR]Anonymous users can reset their passwordパスワードリセット要求があった際に呼び出されるMPR(Managed Policy Rule)。
認証ワークフローのPassword Reset AuthN WorkflowとアクションワークフローのPassword Reset Action Workflowが設定されている。
[AuthN WF]Password Reset AuthN Workflowパスワードリセットを実行する前に実施される認証ワークフロー。
Active Directoryによる認証、ロックアウトゲート、QAゲートが含まれる。
[Action WF]Password Reset Action Workflow実際にパスワードをリセットするためのアクションワークフロー。
WMI経由でFIM Synchronization ServiceのAD MAを呼び出す。
FIM Synchronization ServiceAD MA(Active Directory MA)実際にActive Directoryのパスワード属性を変更する。


次に実際にパスワードリセットが行われる際のシーケンスは下記の通りです。

項番モジュール動作概要
1Gate Frameworkユーザからのパスワードリセット要求を受けてPassword Proxyを呼び出す
2Password ProxyFIM Serviceに対して「User.ResetPassword」属性の変更を要求する
3FIM Service項番2をトリガーにMPR「Anonymous users can reset their password」を呼び出す。(Anonymousで呼び出す)
4Password Reset AuthN WorkflowAnonymousでの呼び出しなので認証失敗となり、AuthNRequestFaultを返却する。この際、FIM ServiceのSTS(Security Token Service)のエンドポイントアドレスを返却する。
5Password ProxyFIM ServiceのSTSへ入力されたユーザ名を渡す。
6FIM Service STS当該ユーザに設定されている質問リストを返却する。
7Password ProxyGate Frameworkを経由してLogonUIに質問リストを表示する。
8Gate Frameworkユーザが入力した質問への回答をPassword Proxyへ渡す
9Password ProxyFIM ServiceのSTSへ入力された質問への回答を渡す。
10FIM Service STS回答があっていれば、セキュリティトークンを発行する
11Password ProxyMPRへ取得したセキュリティトークンを渡し、ワークフローの実行が継続される。
12Password Reset Action Workflow新しいパスワードを使い、WMI経由でFIM Synchronization ServiceのSetPasswordを呼び出す。(FIM Service Accountユーザの権限)
13Active Directory MAActive Directory上の当該ユーザのパスワード属性をリセットする。(AD MAに設定されたユーザの権限)



この通り、それなりに複雑な手順を踏んでパスワードがリセットされることを鑑み、
・FIM Serviceの冗長化(可用性の維持、パフォーマンスの考慮)
・FIM Synchronization Serviceの冗長化(MIIS/ILMの頃のように一日一回のバッチ処理専用サーバではなくなっていることを意識)
を考慮したサイジング、トポロジ設計が必要になります。
※当然のことですが、AD MAは絶対に作成することも必要。

フロント(クライアントからの要求を処理するため)のFIM Serviceとバッチ処理に対応するためのFIM Serviceを分離することも可能なので、またシステム構成の考え方と対応する実装方法についてはご紹介したいと思います。

ちなみに、今回のエントリを含めFIMのSSPR(Self Service Password Reset)に関してはAnthony Ho氏のblogが詳しいです。