こんにちは、富士榮です。
NIST SP 800-63B-3の追補版も最後のまとめ部分を残すのみです。
早速ですが本文書でどのように結論づけているのかをみていきましょう
同期可能な認証器は、認証の状況、特に多要素暗号認証子の使用における実質的な技術的変化を示すものである。暗号鍵の複製とクラウド・インフラへの保存を許可することに関連するトレードオフの 評価は、必然的に行われることになる。このことは、明確なリスク(認証鍵に対する企業管理の喪失など)をもたらすが、同時に、 一般市民や企業にとっての主要な脅威ベクトルを排除する、便利でフィッシングに強い認証機能への道筋を提供する。同期可能な認証器は、すべてのユースケースに適しているわけではない。しかし、本補足文書に含まれるガイドラインに沿った方法で導入される場合、AAL2 リスク軽減策との整合性を達成し、フィッシング耐性認証の採用をより広範に促進することができる。
企業等で利用する場合は鍵が制御外のファブリック(iCloudなど)に保存されることによるリスクがありますが、一般ユーザのシナリオではフィッシング耐性のない認証器を使うよりはマシっていうことなんでしょうねぇ。要はユースケースに応じたリスク分析をちゃんとやろうねっていうNISTのガイドラインの根本は変わらないわけで。
この文書は、既存のデジタル・アイデンティティ・ガイドラインに付随するものであり、各省庁 が十分な情報に基づきリスクベースの決定を行い、適切な場合には最新の業界イノベーション を統合するための情報を提供する。
改めて本文書は既存のガイドラインの付随文書であることを強調し、先に書いたとおりちゃんとしたリスク分析に則って対策を考えましょう、ということです。
ということでこれで一通り見てきたわけですが、私的なまとめとしては、
- 同期と共有は違うぞ
- 同期を許容する場合はバックエンドの同期ファブリックの信頼性も評価しないとだめ
- 統制レベルを上げる場合は同期を不許可にするようにMDMなどで制御することも必要
- ただ、かといってフィッシング耐性がない認証器を許容するよりはマシな場合もある
- 結局ユースケースごとにリスク評価をしましょうね
- その意味でこのガイドライン追補版では新たなタイプの認証器の特徴とリスクなどをまとめたのでちゃんと導入するように
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