こんにちは、富士榮です。
引き続きAAMVAのMobile Drivers License Implementation Guidelines 1.4を読んでいきます。
引き続き4章のプライバシーの部分を読んでいきます。
4.3. PROTECTING DATA
It is up to Issuing Authorities to ensure that all mDL data stored on the mDL holder’s device is adequately protected. As standards in this respect are still under development, each Issuing Authority should take great care to ensure that the design of its solution supports this requirement. At minimum, Issuing Authorities must adhere to the following:
発行局は、mDL保持者のデバイスに保存されたすべてのmDLデータが適切に保護されていることを確認する必要があります。この点に関する標準はまだ開発中であるため、各発行局はソリューションの設計がこの要件を確実にサポートするよう、細心の注意を払う必要があります。発行局は、最低限以下の事項を遵守しなければなりません:
原文でも太字で強調されているとおり、mDL App(ウォレット)に保持されているmDLデータが保護されていることを発行者が確認することが求められています。この責任分解の考え方は非常に重要ですね。欧州でもそうですが発行者となる国が認定したウォレットが必要になるのはこのような背景からきていると思います。しかしこうなるとApple WalletやGoogle Walletに格納されたクレデンシャルが適切に管理されていることをどこまで国は確認できるんだろうか、、、と気になってきますね。
具体的な要件が続きます。
- mDL information must be stored in encrypted form
- Private key material must be protected in a security module designed for the safekeeping of key material.
- The mDL holder must be authenticated when any mDL data is accessed or released, at a point in time that is sufficiently close (as determined by the Issuing Authority) to the time of the access or release. Issuing Authorities that want to leverage device unlocking to protect mDL data must include measures to ensure that this feature has not been disabled by the mDL holder (also see section 7).
- Example: If an app authenticates the mDL holder when the mDL app is accessed, an Issuing Authority should set a time limit after which authentication of the mDL holder is again required before the release of mDL data.
- mDL data must be released to an mDL verifier only via the following:
- an ISO/IEC 18013-5 compliant interface.
- an ISO/IEC 18013-7 compliant interface.
- As an alternative to ISO/IEC 18013-7, an over-the-Internet interface as envisioned in Appendix C that:
- Complies with Appendix C items 2.b and 2.f, and
- Has been approved by the AAMVA Identity Management Committee.
- For sharing mDL data between apps on a phone via an interface other than those listed above, an interface compliant with Appendix C items 2.b and 2.f and that has been approved by the AAMVA Identity Management Committee
- mDL情報は暗号化された形で保存されなければならない。
- 秘密鍵は、鍵の保管のために設計されたセキュリティ・モジュールで保護されなければならない。
- mDL データがアクセスまたは公開される際には、アクセスまたは公開の時点に(発行局が決定する)十分 に近い時点で、mDL 所持者が認証されなければならない。デバイスのロック解除を活用してmDLデータを保護したい発行局は、この機能がmDL保持者によって無効化されていないことを保証する手段を含める必要があります(セクション7も参照)。
- 例 アプリがmDLアプリにアクセスしたときにmDLの所有者を認証する場合、発行局は、mDLデータの公開前にmDLの所有者の認証が再度必要となる制限時間を設定する必要があります。
- mDLデータは、以下を経由してのみmDL検証者に公開されなければならない:
- ISO/IEC 18013-5に準拠したインターフェース。
- ISO/IEC 18013-7準拠のインターフェース。
- ISO/IEC 18013-7 に代わるものとして、付録 C で想定されているインターネット上のインター フェース:
- 付録Cの項目2.bおよび2.fに準拠し、かつ
- AAMVA アイデンティティ管理委員会によって承認されている。
- 上記以外のインタフェースを介して携帯電話のアプリ間で mDL データを共有する場合は、付 録 C 項目 2.b および 2.f に準拠し、AAMVA アイデンティティ管理委員会によって承 認されたインタフェース。
かなり細かく要件が決まってますね。EUでも鍵をどこに置くかは色々と議論がありましたが、AAMVAではセキュリティ・モジュールになってますね。クラウドベースのHSMとかは選択肢に入らないのかな?あと、Holderのプレゼンスや認証のタイミング、ウォレットのアンロックが無効化されていないことの確認など色々とガイドがありますがどうやって確認するんだ??って気もしますが。こうなってきるとやはり専用ウォレットみたいな話になってきそうですねぇ。。
Note 1: This requirement prohibits the sharing of mDL data using the mDL as a “flash pass” (i.e. by showing an image of a credential to a verifier); also see section 8.
注 1:この要件は、mDL を「フラッシュ・パス」(すなわち、検証者にクレデンシャルの画像を見せること)として使用して mDLデータを共有することを禁止している。
これも重要ですね。以前紹介したパートにも書いてありましたが基本的にmDLは目視で確認するためのものではない、ということですね。
4.4. ACTIVITY LOG
The mDL app must be capable of maintaining an activity log. The mDL app must allow the mDL holder to decide if an activity log must be maintained or not. It is recommended that the mDL app requires the mDL holder to explicitly choose for or against keeping an activity log upon setup (i.e. no defaults, and in addition to being able to change this subsequently). The activity log and related settings must be accessible only to the mDL holder (also see section 4.6). The activity log must allow for the recording of all mDL transactions. In this context, an mDL transaction is the sharing of information by an mDL holder with an mDL verifier, as well as any provisioning, update, or communication action between the mDL and the Issuing Authority. At minimum, the following must be recordable for any transaction: Transaction timestamp; type of transaction (e.g. update or data sharing); in case of a data sharing transaction the data that was shared, and to the extent that it can be gathered, information about the identity of the mDL verifier. It is recommended that the mDL app provides the mDL holder the capability to select what types of activities are recorded in the activity log (i.e. rather than only an “all or nothing” option). It is also recommended that the mDL app includes functionality to help the mDL holder monitor and manage the size of the activity log within the capabilities of the mDL holder’s device. The mDL app must provide an option to the mDL holder to export the activity log.
mDLアプリは、アクティビティログを維持できなければならない。mDLアプリは、アクティビティログを保持するかどうかをmDL保持者が決定できなければならない。mDLアプリは、セットアップ時に、mDL保有者がアクティビティログの保持の可否を明示的に選択することを推奨します(すなわち、デフォルトではなく、さらにその後変更できるようにします)。アクティビティログおよび関連する設定は、mDL保持者のみがアクセス可能でなければなりません(4.6項も参照)。アクティビティログは、すべてのmDLトランザクションの記録を可能にしなければならない。ここでいう mDL トランザクションとは、mDL 保持者が mDL 検証者と情報を共有すること、および mDL と発行局との間でプロビジョニング、更新、または通信を行うことである。どのようなトランザクションでも、最低限、以下の情報は記録可能でなければならない: トランザクションのタイムスタンプ、トランザクションのタイプ(更新またはデータ共有など)、データ 共有トランザクションの場合は共有されたデータ、および収集可能な範囲で mDL 検証者の身元に関する情報。mDLアプリは、活動ログに記録される活動の種類を選択する機能をmDL保持者に提供することが推奨される(すなわち、「all or nothing」オプションのみではなく)。また、mDLアプリには、mDL保持者がmDL保持者のデバイスの能力の範囲内でアクティビティログのサイズを監視および管理するのに役立つ機能が含まれることが推奨されます。mDLアプリは、mDL保持者がアクティビティログをエクスポートできるオプションを提供する必要があります。
次はログの話題です。アクティビティログはプライバシーの観点からも非常に重要なものですので、Holderが完全に制御できるものである必要があることが強調されています。この辺りもウォレットソフトウェアを開発する際は留意したいポイントですね。
If an Issuing Authority allows an mDL holder to hold the same mDL on more than one device, the activity log settings on each device should be independent of each other. It is recommended that there be no synchronization of the activity log or activity log settings between the two devices. Any synchronization features that are provided must adhere to the following:
- Synchronization must be an option that can be enabled or disabled by the mDL holder. The process to enable synchronization must require the mDL holder to prove access to both devices.
- Synchronization must occur directly between the devices in question. A synchronization action must not give visibility of any of the following to anyone other than the mDL holder, or to anyone other than entities that already know that the mDL holder has an mDL on more than one device:
- Activity log information.
- Activity log settings.
- The fact that a synchronization action/selection took place
- Any information that may convey that the mDL holder has an mDL on more than one device.
発行局がmDL保持者に複数のデバイスで同じmDLを保持することを許可する場合、各デバイスのアクティビティログ設定は互いに独立しているべきである。2つのデバイス間でアクティビティログまたはアクティビティログ設定の同期は行わないことが推奨される。提供される同期機能は、以下に従わなければならない:
- 同期は、mDL保持者が有効または無効にできるオプションでなければならない。同期を有効にするプロセスでは、mDL保持者が両方のデバイスへのアクセスを証明する必要があること。
- 同期化は、当該デバイス間で直接行われなければならない。同期化アクションは、mDL保持者以外、またはmDL保持者が複数のデバイスにmDLを持つことを既に知っているエンティティ以外の者に、以下のいずれかを可視化してはならない:
- アクティビティログ情報。
- アクティビティログの設定。
- 同期アクション/選択が行われた事実。
- mDL保持者が複数のデバイスでmDLを使用していることを伝える可能性のあるあらゆる情報。
複数デバイスをHolderが使っている場合のログの同期の話です。これもせっかくコンテキストによってデバイスを分けているにも関わらずログが同期されてしまうとコンテキスト違反が起きてしまうことになるのでちゃんと分けましょう、という話ですね。
今日はこのあたりで。
0 件のコメント:
コメントを投稿