こんにちは、富士榮です。
いよいよ今週はワシントンD.C.で今年3回目のSIDI Hubサミットが開催されます。
この次は10月の東京、そして最終ゴールであるG20会合に向けたリオデジャネイロ会合が11月に控えます。
そろそろケープタウン会合のレポートも読み終えておきたいところですので、進めていきます。今回は相互運用に向けた最低限の要求事項のセッションです。
まず、グローバルで相互運用性を確保するためには、もちろん世界中の全ての組織やシステムが統一された標準をサポートすることがベストなわけですが、現実はそう甘くはないわけです。そうなると、実装パターンは以下の3つに集約されることになる、とSIDI Hubでは仮説を立てています。
- 発行者とリライングパーティが複数のプロトコルを実装する
- プロトコル変換を行うレイヤーを用意する
- プロキシを配置する
2番目と3番目はプロトコル変換をプロキシでやるケースもあるので実質は同じ形での実装となる可能性もありそうです。
セッションではペイメントと送金、教育、そして国境を超えた商取引の2つのユースケースにおける最低限の要求事項の分析をしています。
例えばペイメントと送金については以下のように分析されています。
- 国境を超えた送金と受け取り
- 不正を防止するために受取人のIDの確認
- 受取人の口座の確認
- 支払いからスタートするのか、受取要求からスタートするのか
- 制裁チェック
- KYC情報の収集、法規制への準拠
- 税務情報
- エクスローや取引仲介者
→たしかにこれらを国境や制度が異なる国家間で実施するのはアフリカに限らず非常に困難を伴います。例えば海外送金をする際に受取人がテロリストでないことをどうやって確認するのか?というのは非常に難しい問題になりそうですし、オンライン送金をする際のインターフェイスの問題もあります。もちろん古くはCHIPSのようなクリアリングハウスや現行のSWIFTなどが国際送金では存在するわけですが、日常的に国境を超えて商売をしている国々においてそれらのシステムは過剰とも言えるでしょう。
両サイドにデジタルIDシステムは導入されているのか?
- 管轄領域に依存、あったとしても相互運用性がない場合が多い
技術的な展望
- 複数の決済システムやデジタルIDシステムは必ずしも相互運用可能ではない
- ほとんどの国がFATFのAML要件に準拠している
- 多様なウォレットが存在、相互運用性がない
- デジタル資産の取引には異なる規制要件があり、保証レベルも異なる
技術的な課題
- 共通のトラストフレームワークが存在せず、発行者ごとに異なる保証レベルとなっている
- 国家間、国内においても一貫性のない”標準”の利用
- IDウォレットの鍵管理の問題
- webやmobile OSなど複数のプラットフォームで利用できるクレデンシャルが必要
こうなってくると技術の相互運用性のみならずトラストフレームワークのマッピングなども合わせて進める必要がありますね。まぁ、この辺りは引き続き整理を続けているので東京会合の時にはある程度まとまってくるんじゃないかな?と思います。
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